犬は人間が話すとき母音よりも子音に注意を向けていた――言葉を区切る仕組み
犬は人間が話すとき母音よりも子音に注意を向けていた――言葉を区切る仕組み / Credit:Canva
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犬は人間が話すとき母音よりも子音に注意を向けていた――言葉を区切る仕組み

2026.09.25 23:00:20 Friday

ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学(ELTE)などで行われた研究によって、話し言葉を単語に区切るときに母音より子音を頼りにする、これまで人間でしか見つかっていなかった「子音びいき」が、犬の脳にも備わっていることが明らかになりました。

大きく響く母音ではなく、小さく目立たない子音の並びから単語を切り出すこの聞き方は、人間に近いサルの仲間でさえ見つかっていないものです。

しかも犬の子音びいきは、生後3カ月を過ぎてから人の家にやってきた犬にもはっきり現れていました。

共同筆頭著者のキンガ・G・トート氏は「人間以外の種の脳でも子音びいきが生まれうることを示す、初めての証拠です」と述べています。

言葉を話せない犬が、なぜ人間と同じ耳の使い方をしているのでしょうか?

研究内容の詳細は2026年9月24日に『Science』にて発表されました。

Dogs segment the speech they hear with a human-like consonant bias https://www.eurekalert.org/news-releases/1144618
Neural evidence that dogs segment the speech they hear with a humanlike consonant bias https://doi.org/10.1126/science.adw7709

人間の言語は子音を重視している

人間の言語は子音を重視している
人間の言語は子音を重視している / Credit:Canva

知らない外国語のニュースを聞くと、音がひと続きに流れていくばかりで、どこで単語が切れているのかさっぱりわかりません。

実はこれは、外国語に限った話ではありません。

ふだん話している言葉にも、単語と単語のあいだに空白のようなはっきりした切れ目はないのです。

それでも母語なら、脳が音の流れを自動的に単語へ切り分けてくれます。

では、脳は何を目印にして切っているのでしょうか。

素直に考えれば、大きくてはっきりした音のほうが目印に向いています。

母音は声を長く響かせる音で、子音よりも音のエネルギーが大きく、耳に目立ちます。

実際、1歳になる前の赤ちゃんは、その目立つ母音を頼りにしていることが報告されています。

ところが1歳を過ぎたあたりを境に、人間は手がかりを子音のほうへ切り替えます。

目立つ音より、目立たない音を重く見るのです。

理由は、子音のほうが単語を見分ける情報を多く持っているからです。

たとえば「ナゾロジー(NAZOROJI)」を子音だけで「NZRJ」と書いても、「信長(NOBUNAGA)」を「NBNG」と書いても、その決まりを知っている人には何のことか見当がつきます。

ところが母音だけを抜き出して「AOOI」や「OUAA」とすると、情報が足りず、何のことだかさっぱり分かりません。

単語を見分ける情報の多くを、子音が握っているからです。

だから多くの言語で、単語の切れ目を探すときには子音が目安として使われます。

実際、母音を省く書き方は、古代エジプト語や古典ヘブライ語にも見られます。

さらに現代のアラビア語でも短い母音はふつう書かれず、「kataba(彼は書いた)」は「ktb」と3つの子音で書かれます。

このように、単語を聞き分けるときに母音より子音を頼りにする傾向を、「子音びいき(子音バイアス)」と呼びます。

では、この子音びいきはどこから来るのでしょうか。

人間に近いサルの仲間を調べた実験でも見つかっていないことを考えると、言葉を話す人間だけが持つ、特別な言語能力や脳の配線から生まれるようにも思えますが、本当なのでしょうか?

それとも、話し言葉を毎日聞くうちに、よく出てくる音の並びを覚えることで自然に身につくのでしょうか。

後者なら、言葉を話せない動物でも、人の話を聞いて暮らしていれば子音びいきが育つはずです。

そこで研究チームが目をつけたのが、犬でした。

犬自身は言葉を話しませんが、家庭で暮らす犬は毎日のように人に話しかけられています。

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