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※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

ワームに過度の餌を与えると、クローン個体が鎖状につながった「怪物」が誕生した (2/2)

2026.08.14 18:00:10 Friday

前ページ餌を食べすぎると「次の子」を作るタイミングが早まる

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「多頭の鎖」は役に立つのか?

では、複数の頭を持った鎖状の姿には何か利点があるのでしょうか。

もし複数の個虫がつながることで、それぞれが別々の役割を担当するなら、本物の群体動物に少し近づいたことになります。

しかし、チームが消化器官を調べたところ、各個虫には基本的に同じタイプの消化細胞が繰り返し配置されており、消化を分担している証拠は得られませんでした。

複数の頭があるからといって、すぐに高度な「分業社会」が成立しているわけではなかったのです。

捕食者に対する効果も一貫していませんでした。

ある種では、3個虫がつながった鎖の方が単独個体より捕食者に選ばれにくい傾向が見られましたが、別の種では同じ効果は確認されませんでした。

仮に鎖状になることで捕食されにくくなるとしても、それは「頭が増えて賢くなった」ためではなく、単純に体が大きくなり、繊毛も増えて泳ぎやすくなるなどの効果かもしれません。

過度な餌により、鎖状につながったワームの画像

しかも、この鎖は永久には続きません。

餌を与え続けても、古い頭部が完成すると鎖はより短い鎖や単独個体へ分かれ、その後また餌が豊富なら成長して新しい鎖を作ります。

チームは、この一時的な鎖状構造を完全なコロニーと区別して「パラコロニー」と呼んでいます。

「群体性の進化」に繋がるのか?

そして、この現象から研究者らが注目しているのが「群体性の進化」です。

近縁の扁形動物(Catenula属)には、15個以上もの個虫が永久的につながった鎖を作る種が知られています。

そのため著者らは、クサリヒメウズムシで見られたような、栄養によって偶然生じる一時的な鎖が、進化の過程で何らかの利点を持つようになり、やがて永久的な群体生活へと利用された可能性を提案しています。

ただし、これは今回の実験で直接証明された結論ではありません。

今回明らかになったのは、豊富な餌が胴体の成長を加速させ、頭部形成との時間差を生み、その結果として次の無性生殖が前倒しされ、複数の個虫が一時的につながるという発生メカニズムです。

一見すると「餌を食べすぎて多頭の怪物になった」ように見えますが、その正体は、通常の繁殖工程が少しだけ噛み合わなくなった結果です。

それでも、この小さな発生上のズレが、将来的には「なぜ単独で暮らす動物から、複数個体が一体化した群体が生まれたのか」という大きな進化の謎を考える手がかりになるかもしれません。

生物の奇妙な姿は、ときにまったく新しい仕組みから生まれるのではなく、すでにある仕組みの「タイミングのズレ」だけでも生まれるようです。

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