「亡き愛犬をAIでよみがえらせた」と添えると、不気味さが許された

「AIで作った」という札が張られると、価値は決して戻らないのか?
この疑問を解明するため研究者たちは「AIで作った」に加え「その理由」を添えた場合を確かめてみることにしました。
題材は架空のペットフードブランドの広告で、亡くなった愛犬のジョイを悼む女性のもとへ、ジョイが駆け寄ってくる物語です。
研究チームはこの広告を4本作り、アメリカ在住の178人を無作為に4組へ分けて1本ずつ見せました。
4本はどれも同じ物語で、AIで作ったことも4本すべてで視聴者に伝えています。
違いは2つだけです。
1つは、映像に出る歪みの大きさです。
どちらも、同じ犬と同じ人物が写った実写の素材を、種類の違うAIで作り変えたものです。
片方は犬の姿や動きに目立つ歪みが出た動画、もう片方は元の映像とほとんど見分けがつかない自然な動画です。
もう1つの違いは、AIを使った理由や動機を視聴者に伝えるかどうかでした。
伝えない側に入るのは、「この動画はAI技術で生成されました」という一文だけで、なぜ使ったのかには触れません。
しかし理由や動機を語る版では、ジョイを大切な家族として紹介したうえで、物語の途中に
「もう一度、ほんの一瞬でも、彼女がジョイに会えたら? 私たちはAIの映像技術でジョイの動画を作りました。彼女が喪失と向き合い、思い出を大切にできるように」
というメッセージが差し込まれました。
映像そのものは同じでしたが、理由や動機を物語の一部に組み込んだわけです。
すると視聴者の好感度は、理由を語った広告で平均5.44、理由のない広告で平均3.45となりました。
どちらも「AI製」と知らせた広告どうしなのに、AIを使う理由を物語に結びつけたかどうかによって、これだけの差がついたのです。
さらに興味深いのは、理由を添えると、品質のハンデがほとんど効かなくなった点でした。
理由がない場合、自然な動画が4.39だったのに対し、歪んだ動画は2.52まで評価が落ちていました。
ところが理由を添えた広告では、自然な動画が5.67、歪んだ動画も5.21と差が僅かなものになっていたのです。
同じ歪んだ動画が、理由を動画内に添えるだけで評価が2.52から5.21まで上がったことになります。
では理由を添えると、なぜネガティブな影響が弱まるのでしょうか。
研究チームは、その答えを視聴者の受け取り方に求めました。
1つは、「安上がりに済ませたのだろう」というネガティブな疑いです。
もう1つは、「新しい表現をしたくてAIを選んだのだろう」というポジティブな受け取り方です。
すると、理由を語らない広告では、歪んだ映像を見た人ほどネガティブな疑いを強め、ポジティブな受け取り方は弱めていました。
しかし理由を語る広告では、歪んだ映像を見ても、ポジティブな受け取り方ははっきりとは弱まりませんでした。
ネガティブな疑いのほうは残りましたが、その強まり方は理由を語らない広告より小さくなっていました。
亡き愛犬をもう一度映すためにAIを使ったのだと分かれば、同じ歪みの意味も変わります。
費用を削った結果ではなく、あえて選んだ表現の結果に見えてくると研究チームは説明しています。





























