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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
psychology

1つの体験が「より楽しくなる」心理テクニックとは

2026.08.31 17:00:11 Monday

私たちは毎日、食事をしたり、音楽を聴いたり、動画を見たりと、さまざまな「楽しい体験」をしています。

しかし、同じ曲を何度も聴けば飽きますし、好きな料理でも慌ただしく食べれば、あまり味わった気がしないことがあります。

では、体験そのものを変えずに、その楽しさだけを少し増やすことはできるのでしょうか?

その方法は意外にも、1つの体験を「複数のことを同時にしている」と考えることかもしれません。

たとえば音楽を「1曲聴いている」と捉えるのではなく、「ギターを聴きながら、同時にサックスも聴いている」と考えるのです。

フィンランド・アールト大学スクール・オブ・ビジネス(Aalto University School of Business)は、このような捉え方を「マルチ・エクスペリエンス・フレーミング」と呼びます。

チームは、食事や音楽、動画、絵画、ゲームなどを使った計12の研究から、同じ体験でも楽しさが高まる可能性を示しました。

Want More Joy? Turn One Experience Into Many https://www.psychologytoday.com/us/blog/beneath-the-surface/202608/want-more-joy-turn-one-experience-into-many
Multi-Experience Framing: The Mere Perception of Experiencing Multiple Stimuli Increases Enjoyment https://doi.org/10.1093/jcr/ucag017

1つのサンドイッチを「複数の体験」として食べる

この方法のポイントは、よく言われる「マルチタスク」とは少し違います。

テレビを見ながらスマートフォンを触るように、まったく別のことを同時にすると、注意が分散して体験を楽しめなくなる場合があります。

今回研究されたのは、1つの体験を構成する複数の要素を「同時に経験している」と意識する方法です。

たとえばハムとチーズのサンドイッチなら、「サンドイッチを食べる」という1つの体験として考えることもできます。

一方で、「パンを食べる」「ハムを食べる」「チーズを食べる」という複数の体験を同時にしている、と考えることもできます。

もちろん、どちらも食べているものは同じです。

しかし大学の食堂で行われた研究では、昼食を複数の体験として捉えるよう促された学生のほうが、その食事をより楽しんだと回答しました。

最終的に分析された323人では、楽しさを10点満点で評価した平均値が、通常の捉え方をした人の7.11に対し、複数の体験として捉えた人では7.47となりました。

より厳密に条件をそろえた実験でも、同じ傾向が確認されています。

研究者らは406人の参加者に、まったく同じ15分間のジャズコンサート映像を見せました。

一方には「ギターとサックスが登場する曲を聴く」と説明し、もう一方には「ギターを聴くことと、サックスを聴くことを同時に行う」と説明しました。

流れる曲も映像も同じなのに、楽しさの平均値は前者の65.53点に対し、後者では71.89点と高くなったのです。

つまり、体験を豪華にしたり、新しい刺激を加えたりしなくても、「自分はいま複数のものを同時に味わっている」と捉えるだけで、同じ体験の感じ方が変わる可能性があります。

次ページ楽しさを増やした正体は「注意」だった

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