逆さまにすると「守れそう」が消えた

3つ目の実験では、194人に同じ顔写真を見せました。
ただし、半分は上下を逆さまにして。
顔を逆さまにすると、脳は顔全体の配置をひとまとめに捉える処理がしにくくなります。
正しい向きの顔では、幅広い顔がやはり守る力が高いと評価されました。
逆さまの顔では、その差は統計的に意味のある水準ではなくなりました。
「守れそう」の判断は、顔全体の配置をまとめて読むことに頼っているらしい。
対照的に、細い顔の男性は逆さまでも「育てるのが少し上手そう」と見られ続けました。
育てる力の判断は、個々のパーツに頼っている可能性があります。
筆頭著者のミッチ・ブラウン氏は、逆さまでも推測はできたが効果はかなり弱まった、と述べています。
4つ目の実験では、父親としての力の推測が、守る動機の予想とも連動していたと研究チームは報告しています。
また、集団を守れる相手を見分ける感覚が進化の過程で有利だった可能性を、この結果の背景に置いています。
ブラウン氏は、守ることと育てることの間の「割り切り」を人がどう読むかを見るのに、顔幅の比は格好の材料だったと話しています。
ブラウン氏は、顔幅の比そのものが進化で選ばれた形質だとか、ホルモンの指標だとは主張していません。
顔全体から力強さの「まとまり」を読み取っているのだろう、というのが氏の見立てです。
忘れてはいけないのは、測ったのが印象だという点です。
頼れそうな父親の顔は、見る側の目が勝手に決めている。その目は案外、顔の幅だけを見ているのかもしれません。
公園で交わす会釈の順番は、顔の幅で先に決まっていたのかもしれません。
























