魚のうろこはどうやって「電気を生む膜」になったのか?

うろこは、もとの形のまま使われたわけではありません。
研究チームは捨てられたうろこを酸で処理し、450℃まで熱してから、すりつぶして粉にしました。
熱したことで、うろこの骨組みをつくっていたコラーゲン(たんぱく質の一種)の構造は壊れます。
あとに残るのは、炭素を含む物質と、カルシウムやリン酸を多く含む鉱物です。
この粉を、PVDF(電気に関わる性質を持つ樹脂の一種)に混ぜます。
それを、ごく細い繊維がからみ合った網のような形に仕立てました。
最後に、その網のすき間を、よく伸びるシリコンで埋めています。
こうしてできた膜の中には、材料どうしの小さな境目がたくさん生まれます。
論文の要旨によると、この境目は電気をためたり偏らせたりするのに向いているそうです。
大事なのは、混ぜる量でした。
ちょうどよかったのは、膜を作る時の液に対して重さで0.14%という、ごくわずかな量です。
この量だと電気の出力が上がり、PVDFの結晶のでき方も変わりました。
ところが入れすぎると、粉の粒どうしが固まってしまいます。
すると結晶ができにくくなり、せっかくの電気が漏れ出す通り道までできてしまうのです。
反応できる圧力は0.25〜12.5キロパスカル(キロパスカルは圧力の単位)で、皮膚のわずかな変形から、しっかり握る力までを捉えられます。
しかも軽く押す範囲ほど、わずかな力の差に敏感に反応しました。
もう1つの壁は、センサーどうしの「混線」でした。
初めに作った3×3のセンサーのシートでは、1つのマスを押すと、隣のマスまで反応してしまいました。
柔らかい素材なので、押した力が周りに広がってしまったのです。
解決策は単純で、センサーのマスどうしを切り離し、下にある電気のつながりだけは残しました。
これで信号は、押した場所に強く絞られて出るようになりました。
























