「地球の微生物」が土星の衛星の海を再現した環境で増えると判明
「地球の微生物」が土星の衛星の海を再現した環境で増えると判明 / Photo by geralt on Pixabay
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「地球の微生物」が土星の衛星の海を再現した環境で増えると判明

2026.09.26 15:30:00 Saturday

地球の深い海にすむ微生物が、土星の衛星エンケラドスの海をまねて作った水の中で増えました。

ミュンヘンにあるルートヴィヒ・マクシミリアン大学のウィリアム・オルシ教授らが行った実験です。

使ったのは、日本と台湾のあいだにある沖縄トラフの深海で見つかったメタン菌(水素と二酸化炭素からメタンを作って生きる微生物)です。

この微生物は、pH(アルカリ性の強さの目安。数字が大きいほど強い)が11に達する水の中でも育ちました。

これまで知られていた、この微生物が耐えられるpHの限界を大きく超える値です。

エンケラドスは、地球の外で生命を探す場所として、太陽系でいちばん期待を集めてきた天体です。

今回の結果は、エンケラドスが生き物の住める場所かもしれないという見方を後押しするものです。

ただし、エンケラドスで生き物が見つかったわけではありません。

研究内容の詳細は2026年9月25日に『Science Advances』にて発表されました。

Earth microbes survive simulated conditions of Saturn moon’s ocean (The Guardian Science) https://www.theguardian.com/science/2026/sep/25/earth-microbes-survive-conditions-enceladus-saturn-moon-ocean-study
Enceladus-like geochemistry fuels methanogenesis under extreme CO 2 limitation https://doi.org/10.1126/sciadv.aei0167

氷の衛星エンケラドスの海に「足りないもの」

氷の衛星エンケラドスの海に「足りないもの」
氷の衛星エンケラドスの海に「足りないもの」 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

土星は太陽系でいちばん多くの衛星を持つ惑星で、知られているだけで300個近くあります。

エンケラドスはそのうちの1つで、氷に覆われた小さな天体です。

200年以上ものあいだ、とくに目立つ衛星ではありませんでした。

見方が変わったのは、探査機が土星までたどり着いてからです。

2000年代から、NASAの探査機カッシーニや、最近ではジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、エンケラドスから水蒸気と氷の粒が巨大な噴煙となって吹き出す様子をとらえてきました。

凍った表面の下に、大きな塩水の海が広がっている証拠も見つかっています。

海底には熱水噴出孔(海底の温泉。熱くてミネラルの多い水を出す場所)が点々とあり、周りの水を温めていると考えられています。

化学の手がかりからは、この海が強いアルカリ性で、岩と水の反応によって水素が生まれていることもうかがえます。

水素と二酸化炭素がそろえば、エネルギーの面では、メタン菌が生きるための反応が進みやすい条件になります。

ところが、ここに1つ心配な点がありました。

こうしたアルカリ性の海では、メタン菌が体を作る材料にする二酸化炭素がとても少ないのです。

二酸化炭素が足りないと、メタン菌が自分の体を作れなくなるのかどうかは、分かっていませんでした。

オルシ教授も、この微生物が生きられるかを試すのは「望みの薄い賭けだった」と話しています。

では、二酸化炭素がほとんど無い水の中で、微生物はどうやって暮らしを立てたのでしょうか。

次ページ二酸化炭素がほとんど無い水で、微生物はどうやって増えた?

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