ネットと現実で違った「嫌な体験」の中身

では、ネット全体と現実の生活を比べるとどうだったのでしょうか。
過去4週間のうちに、他人が嫌がらせを受けるのを見た10代は44.7%、自分が直接嫌がらせを受けた10代は29.8%にのぼりました。
直接の嫌がらせは、現実で18.5%、ネットで16.4%と、ほぼ同じ割合でした。
いじめのような嫌がらせは、ネットの中でも外でも同じように起きているようです。
ところが、ほかの害ではネットの方がずっと多く、暴力的な画像はネットで10.7%(現実では1.6%)、望まない性的な画像は13.4%(同2.0%)、自分を傷つけることをすすめる内容は9.7%(同5.2%)でした。
さらに半数を超える51.5%が、スマホなどのテクノロジーを使っていたせいで睡眠が妨げられたと答えています。
一方、保護者の学歴や家庭の収入、スマホに保護者が使用制限(ペアレンタルコントロール)をかけているかどうかと、ネットでの嫌な体験との間には、はっきりした関係は見られませんでした。
また、性別や年齢によって、経験しやすい害の種類が違う傾向も見られました。
ただし、この研究にはいくつか注意点があります。
今回の調査はある一時点の様子を切り取ったもの(横断調査)なので、アプリを使ったことが原因で気分が落ち込んだとまでは言えません。
また、この調査は試験的に行われたもので、分析も前もって仮説を立てずに探るように進めたものです。体験はどれも本人の申告によります。
それでも研究チームは、ネットでの嫌な体験の割合は実際に測れるもので、病気などの危険を見張る公衆衛生の仕組みと同じように使えると述べています。
リー氏らは、こうした数字を追い続けることで、導入された対策が本当に害を減らしているかを確かめられると期待しています。
「SNSは子どもに悪い」とひとまとめに語るより、「どのアプリで、何が起きやすいのか」を知るほうが、ずっと役に立つ手がかりになりそうです。
スマホを取り上げるかどうかを考える前に、まずは自分や家族がどのアプリでどんな気持ちになっているのかを話し合ってみる価値はありそうです。
ちなみに筆者のスマホでいちばん気分が落ち込むアプリは、どうやら銀行の残高アプリのようです。





















