・米国の複数の地域に虹色の沼が出現し、話題を呼んでいる
・無風状態で長期間にわたって水面に波が立たなかった場合に、沼の表面が虹色に見える
・沼が虹色に見える要因は、腐敗する草木から染み出したか、または嫌気性バクテリアの生物学的プロセスで発生した天然オイル
米ヴァージニア州のファースト・ランディング州立公園に、虹色の沼が出現しました。これを目撃した人々がSNSに投稿するなどして、大きな反響を呼んでいます。
神話の世界のような美しい写真。なぜこのような虹ができたのでしょうか。その原因は、思ったよりも現実的なものだったようです。
虹の正体は、実は腐敗する草木から染み出したか、もしくは土に含まれる鉄分を還元する嫌気性バクテリアの生物学的プロセスで発生した天然オイルです。虹が姿を現すのは、長時間にわたって水面に波が立たず、静かに保たれた時。この「虹の膜」はとても繊細で、ほんの少しの風が吹いただけでも儚く消え去ってしまいます。沼地ウォーキングのリーダーを務めるジェフ・リップル氏によると、もっと狭い範囲であれば、同じ現象が現れることは普段からあるそうです。
また、これと同じような景色を目撃したという声は、米国の他の地域からも挙がっています。フロリダに住む元エンジニアのマイケル・ハッセイ氏は、自分の土地にある小さな沼が日毎にさまざまな色に変化する様子を目にしていました。水面の虹色は、数週間雨が降らなかった時は特にはっきりと映ります。3〜4年に一度の頻度で、2月の中旬頃に目撃するのだとか。
虹は、油の表面で反射する光と、油の下にある水面で反射する光が「干渉」するために見えます。つまり、光は波として伝わりますが、油の表面で反射する光と、油の下にある水面で反射する光では、通る道が異なるために波がずれます。ずれた波が重なった時、弱くなる色と強くなる色が出るため、元は白色だった光に色が付いて見えるのです。また、油の膜の厚み、つまり油の表面で反射する光と、油の下にある水面で反射する光が通る道の長さの違いにより、この色は変化するため、油の厚みが変わるのにともなって色もグラデーションのように揺らめいて変化します。
正体は油だったわけですが、色とりどりに染まった沼は、写真で見るだけでもため息が出るほどに美しく、虹の妖精が木陰からひょっこり顔を出しそうな幻想的な雰囲気に満ちています。それに、目にした人にはなんだかいいことが起きそうな…?この記事を読んでくださった方にも、幸運が訪れますように!
via: bbc / translated & text by まりえってぃ