biology

アイスを食べると不安になる?「乳化剤」で不安行動が増す恐れ

2019.01.21 Monday

Point
・アイスの乳化剤に使われるCMC、P80をマウスに与えると腸内細菌が変化
・乳化剤はマウスの不安様行動、社会的行動も変化させ、脳への影響が考えられる
・行動の変化には性差があり、そのメカニズムに免疫系が関与している可能性

夏はもちろんですが、冬にあったかい部屋で食べるアイスは最高ですよね。

ところが、アイスやチョコレートなどの食品に多く使われている「乳化剤」が、脳に悪い影響を与える可能性が明らかになりました。研究は1月17日付けで「Scientific Reports」に掲載されています。

Dietary emulsifiers consumption alters anxiety-like and social-related behaviors in mice in a sex-dependent manner
https://www.nature.com/articles/s41598-018-36890-3

乳化剤でマウスの腸内細菌が変化

アイスにはあの滑らかな舌触りを出すために「カルボキシメチルセルロース(CMC)」や「ポリソルベート80(P80)」といった乳化剤が使われています。

ジョージア州立大学のデブリーズ氏らは、このCMCやP80を水に加えてマウスに与え、腸内の細菌の種類を調査。その結果、乳化剤を与えたことにより細菌の種類や割合が変化していることがわかりました。

また、この腸内細菌の変化は小腸の「炎症」も起こすことがわかっています。炎症とは、傷などを治そうと免疫細胞が集まってくることで、集まってきた免疫細胞は他の組織に影響する物質を産生します。

たとえばメタボリック症候群の原因として、全身の炎症が考えられています。つまり、デブリーズ氏らの研究により、乳化剤は炎症が原因と考えられる多くの病気に関連する可能性が示されたことになるのです。

さらに、メタボリック症候群などが増えた20世紀半ばには自閉症などの行動障害も増えていることがわかっています。このことから、現代の化学物質にさらされることで脳に変化がおきていると考える科学者もいます。

ナゾロジーでは以前、腸内細菌の生成物が神経性の病気の進行に影響をあたえる可能性があるとお話しました。また、腸でよく見つかる細菌は脳でも発見されています。

腸と脳は離れているのであまり関係がないように感じますが、細菌から見ると腸と脳は密接な関係にあるのかもしれませんね。

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