なぜ「コピー機」がなければ生命は始まれないのか?

私たちの日常は「コピー」に支えられています。
スマホの写真、宿題のデータ、クラウドのバックアップ。
もしコピー機能がなければ、少しのミスや事故で情報はすぐ消えてしまいます。
実は、生命も同じです。
体の中では、細胞が自分のコピーを作り続けているから、私たちは生き続けています。
では、最初の生命はどうやって「コピー機能」を手に入れたのでしょうか。
DNAやタンパク質が登場する前、もっと原始的な時代には、RNA(リボ核酸:遺伝情報を運ぶひも状の分子)が情報の保存と化学反応の両方を担っていた、という考えがあります。
これが「RNAワールド仮説(生命はRNAだけの世界から始まったとする説)」です。
この仮説では、どこかのタイミングで、RNAの鎖にコピー能力がうまれ、それが遺伝子の自己複製サイクルを回し始めたと考えられています。
ところが、これまで見つかってきたRNAコピー酵素たちは、どれも150〜300文字クラスの「分厚い仕様書」のような分子でした。
さらにこれらの大型コピー機は、肝心の「自分自身のコピー」はできません。
しかも、そんな巨大で複雑な分子が、原始の地球で自然にできるとは考えにくい、という大きなツッコミもありました。
実験室や鉱物表面などで自然にできたと報告されているRNAは、もっと短い鎖が中心だからです。
現在存在している生命たちが複雑なRNAを製造できる最上級のフランス料理シェフだとしたら、原始の地球環境が作れるRNAは「おにぎり」程度の単純なものに過ぎなかったわけです。
この「フルコース問題」をどう乗り越えるかが、RNAワールドの最大の弱点でした。
そこで研究者たちが考えたのは、「最初からフルコースを狙うのをやめて、とにかく一番小さな“おにぎり級コピー機”を探そう」という方針です。
言ってみれば、原始スープの中で無数の配列が生まれては消える「ガチャ」を、試験管の中で再現したようなものです。
しかし、そんな偶然に任せた製造法で、複製酵素的に働きつつさらに自己も複製できる複製コアのような配列はできるのでしょうか?




























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