たった45文字のRNA分子が「自己複製コア」として動くと判明――自己複製の起源に迫る
たった45文字のRNA分子が「自己複製コア」として動くと判明――自己複製の起源に迫る / Credit:Canva
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たった45文字のRNA分子が「自己複製コア」として動くと判明――自己複製の起源に迫る (3/3)

2026.02.17 19:00:12 Tuesday

前ページ6兆回のガチャで「自己複製コア」を見つけ出した

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生命創造はまだだけど複製コアはどうにかなりそう

生命創造はまだだけど複製コアはどうにかなりそう
生命創造はまだだけど複製コアはどうにかなりそう / Credit:Canva

今回の研究により、「RNAによる自己複製に必要な複雑な機能は、45文字という自然環境でも届きそうな小さな鎖でも実現できることが示されました」。

これまで知られているRNAだけの複製には材料と増やしたい配列(鋳型)と複製用の大きなRNA分子が必要になります。

しかしQT45は材料をそろえれば、自分を増やすことが可能であり、状況によっては自分が鋳型にもなれる「複製コア」のような機能を果たします。

コラム:QT45によってQT45が複製されるまで

コピー機で紙を増やすには、材料となるインク、元になる原本(テンプレート)と、コピー機本体が両方そろっていないと動きません。QT45もその基本は同じです。RNAは「+鎖」と「−鎖」という、内容がペアになった2種類の鎖を行ったり来たりしながら情報を受け渡します。QT45は+鎖の姿をしているとき、自分の相手役である−鎖を作るためのコピー酵素として働きます。つまり「QT45(+鎖)というコピー機」が、「QT45の−鎖という原本」をまだ持っていない状態からスタートし、自分と逆向きの塩基配列を持つ“相棒の鎖”を1本目として作り上げるのです。こうして−鎖ができると、こんどは立場が入れ替わります。−鎖のほうが「原本」になり、QT45は再びコピー機として働き、−鎖を読み取りながら新しい+鎖、つまり“次の世代のQT45”を作っていきます。ここで大事なのは、QT45が「他人のRNAだけでなく、自分の相棒(−鎖)を作れること」と、「その相棒を原本として使い、自分自身をもう一度作れること」という2段階をこなしている点です。もしどちらか一方しかできないなら、どこかでコピーの流れが止まってしまい、世代をまたいだ自己複製にはなりません。QT45は、たとえゆっくりで量も少ないとはいえ、「コピー機としての自分(+鎖)」と「原本としての自分(−鎖)」の両方を自前で用意し、原本→コピー→新しい原本…と続いていくサイクルの土台を一つの小さな分子の中に持ち込んでいる、というところが“自己複製コア”と呼べるゆえんなのです。

もちろん課題もあります。

QT45のコピーは非常に遅く、収率も精度も低いことから、現時点では自然界で複製存在として生き残ることは難しいかもしれません。

(※これはある意味で爆発的増殖などの事故を起こさないため安心でもあります)

それでも、この研究には大きな意味があります。

これまでは「生命のスタートには、ほとんど奇跡のような複雑な分子が必要だ」と感じていたところが、「実は、もっと短くてシンプルなコピー役でも、条件さえ合えば自己複製のかなり手前まで進める」ことが分かったからです。

言い換えると、「スタート地点が、現実に手が届く場所まで下りてきた」ということです。

短いRNAでも自己複製に近い働きをするなら、原始地球のあちこちで、あるいは氷に覆われた他の惑星や衛星のどこかでも、QT45のようなミニコピー機が何度も何度も“当たり”として出ていたかもしれません。

もしそうなら生命の起源は一度きりの超ミラクルではなく、たとえるなら「長い時間と広い空間を使って何度も試された“ガチャの当たり”」に近いものかもしれません。

研究者たちは、この発見が「生命の始まりを説明するパズルの一片になりうる」と述べています。

もしこの方向の研究がさらに進み、QT45のような分子が本当に自走する自己複製サイクルを回せるようになれば、「生命と非生命の境目」はますますあいまいなものになるかもしれません。

もしかしたら未来の世界では、「生命が生まれるのは、複製コアの確率的な出現によるものである」とさらりと解説されているかもしれません。

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