■数億年前の謎の古代生物のレアな化石が発見され、これによりその生き物が生物学的に属する系統が明らかとなった
■化石には非常に稀な「柔らかな器官」が含まれており、その生き物がヒトデなどの「棘皮動物」に属することが分かった
■研究者らは150年間にわたってこの生物に関する様々な議論を交わしており、今回の発見がそこにピリオドを打つ形となった
謎に包まれた生態を持ち、どの系統に属するのか長く議論が続いた数億年前の古代生物「stylophorans」。非常に状態の良い化石がモロッコで発見され、古生物学者たちはついに、その奇妙な生態に迫ることに成功しました。
Exceptionally preserved soft parts in fossils from the Lower Ordovician of Morocco clarify stylophoran affinities within basal deuterostomes
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0016699518301219
非常にレアな大発見
「stylophorans」と呼ばれるその生き物は、平べったく頑丈そうな外見で、体の両側から2つの長い腕が突き出ています。これまで、この生き物がどの系統に属するのか分かっていませんでしたが、今回の研究により、stylophoransがウニやヒトデ、ナマコと同じ「棘皮動物」に属することが判明しました。
この発見が可能となったのは、化石の保存状態が非常に良好であったためです。研究を率いたベルトラン・ルフェーヴル氏によると、化石はstylophoransの腕と胴体のどちらもはっきりと判別できるものだったとのことです。
化石は2014年、モロッコ南部サハラ砂漠の端に位置する地層「Fezouata Formation」で発掘されました。この作業では、およそ4億7,800万年前のstylophoransの化石450を含む大量の化石が発掘されています。
しかし、研究者らは化石の中に柔らかな組織が保存されているものがあることに、すぐに気がついたわけではありませんでした。化石を研究室に持ち帰り、顕微鏡で観察することによってはじめて、その存在が分かったとのことです。
stylophoransの化石は1850年代以降、世界各地で発見されています。そしてそれらの化石から、stylophoransがカンブリア紀中期から石炭紀後期にかけて、つまり5億1,000万年~3億1,000万年前に生息していたことが分かっていました。しかし、今回発見されたような柔らかな器官が化石化されていることは非常に稀なことなのです。