■多くの物理法則には時間の向きの制限はないが、熱力学第2法則によって秩序から無秩序に世界は進んでいる
■量子コンピュータで複雑さの増したキュービットに別のプログラムを適用することで、時間が戻ることを発見
■この技術を応用することで、量子コンピュータのエラーとノイズを減らすことができる
これは胸熱。
量子コンピュータを使うことで、時間の方向の逆転に成功しました。
このブレイクスルーとなる研究は、一見、物理の基本法則に矛盾しているため、宇宙を支配する法則についての理解に変更が必要となるかもしれません。研究は「Scientific Report」で発表されています。
https://arxiv.org/pdf/1712.10057.pdf
電子と量子力学の不思議な世界を利用した、量子コンピュータ。その技術開発の中で、なんと実験的に時間を巻き戻すことに成功しました。コンピュータを観察していた人には、まるで時間が逆転して見えたでしょう。
モスクワ物理工科大学(MIPT)の研究者らは、スイスとアメリカの共同研究者の力も借りて、経時的な信頼性と正確性を改良する技術の開発を目的に研究しています。
量子情報物理学研究室の筆頭研究員であるゴーディ・レスコビク博士は、「熱力学的時間の矢と反対方向に進化する状況を、私たちは人工的に作り出したのです」と述べています。一体どのようにして動くのでしょうか?
エントロピーを逆転するマシン
実験に使われたマシンは、電子のキュービットを使った基本的な量子コンピュータからなっています。キュービットは、量子コンピュータにおける基本情報単位で、0と1、そしてその両方を併せ持つ「重ね合わせ」の3つの状態を表現できます。
実験では、「進化プログラム」と呼ばれるプログラムが立ち上がると、キュービットの0と1への変化パターンはどんどん複雑になります。この過程においては、秩序は失われていきますが、それは規則正しく寄せ集めた玉が散乱するようなものです。
しかしその後、もう一つのプログラムが、その量子コンピュータの状態を修正して、カオスから秩序へと、「逆方向」に進化させます。つまり、キュービットの状態が、巻き戻って元の状態に戻るのです。