Point
■約9千年前に存在した新石器時代の大都市の遺跡がイスラエルで発掘された
■建造物の構造から、この都市が都市計画や農業の技術に秀でていたことが伺える
■新石器時代のユダヤ地域には人が住んでいなかったという従来の常識が覆される大発見である
およそ9千年前に存在したと推測される新石器時代の大都市の遺跡が、イスラエルで新たに見つかった。
場所は、エルサレムから5キロほど西に進んだところにあるモッツァ・ジャンクションの近く。ごく普通の道路の脇に、約3千人の住民が暮らす古代都市が存在したとは、なんとも歴史のロマンを感じるニュースだ。
発掘された建物からは、居住スペースとして使われていた部屋に加え、公共施設、儀式用の場所、通路なども見つかっている。大量の植物の種子を納めた貯蔵庫などもあることから、この都市が都市計画や農業の技術に秀でていたことが伺える。
狩りや戦闘に用いられていたと見られる矢尻や、火打ち石を含む、さまざまな道具も出土した。中には、時代の異なる青銅器時代の槍の穂先もあるという。住民は、ヤギ・牛・豚を家畜として、狩りも行っていたようだ。
また、宝飾品や像なども多数発掘された。墓の中から見つかった石のオブジェは、埋葬の際の捧げ物として使われたようだ。
子ども用の小さいサイズの石の腕輪や、小アジアの黒曜石を彫って作られたビーズなど、宝飾品もバリエーションに富んでいる。中には、死後の世界で亡くなった人々を助けるために与えられたものと考えられる葬儀用品も存在したという。
これまで新石器時代のユダヤ地域には、人は住んでいなかったと考えられてきた。今回の発見は、従来の歴史認識を一変させそうだ。