
■ポーランドの核シェルターで共食いによって生き延びたアリのコロニーが見つかる
■コロニーが突然地上から隔離されたため、生き延びるために共食いを余儀なくされた
人間では禁忌とされるカニバリズム(共食い)ですが、自然界では珍しいことではありません。
旧ソ連の影響下にあったポーランドの核シェルターの中で、このカニバリズムによって生き延びたアリのコロニーがあることが分かりました。
彼らは息絶えた同胞を戦略的に「喰らっていた」というのです。ポーランド科学アカデミー動物学研究所の研究者らによるこの研究は、「Journal of Hymenoptera Research」に掲載されています。
Ants trapped for years in an old bunker; survival by cannibalism and eventual escape
https://jhr.pensoft.net/article/38972/element/8/60733//
コロニーに「食物」がない
コロニーが見つかったのは2013年。同じシェルターの中で冬眠しているコウモリの数を数える例年のプロジェクトの際に発見されたものでした。
研究者たちは、そのコロニーが普通のものとは違っていることにすぐに気がつきます。
すべてが働きアリで構成されていたそのコロニーには、どこにも食べ物となりうるものが存在していなかったのです。ここから研究者たちは「カニバリズム」の推論を立てます。
さらにシェルター内のコミュニティは、地上の大きなコロニーから小さな通気口を通じて分岐したものであることが考えられました。
通気口が突然壊れ落ちたことで、そこを通過していた大量のアリが地下に落とされ、元いたコロニーに戻れなくなったというわけです。つまり彼らは、その隔絶された世界で生き延びることを突然余儀なくされたと考えられます。
そして、最初にシェルターのアリが発見されてから数年が経っても彼らは絶滅していません。これが研究者の興味をそそる結果となりました。どうしてそのようなことが可能だったのでしょうか?
カニバリズムは恒常的?
もちろん、その答えがカニバリズムです。研究者たちは、シェルター内のアリが床に積み重なった同胞の亡骸を食することで生き延びていたことを突き止めました。
実はアリのカニバリズムはそれほど珍しいものではなく、タンパク質が豊富な食物が不足する春ごろにはしばしば起こる現象でもあります。
また研究では、この行動がこれまで考えられていたよりも一般的である可能性も示唆されています。つまり、食物が不足するタイミングではなくてもカニバリズムが恒常的におこなわれているかもしれないということです。
研究者たちは2016年に「橋」を作り、地下から元のコロニーへと続く道を再建するといった実験をおこないました。すると大多数のアリが元いたコロニーへと帰っていき、今ではシェルターで暮らすアリはわずかになってしまったとのことです。
共食いはほ乳類では非常に珍しい行動ですが、クモの中には幼虫に自らを食べさせる母グモもいます。自然界全体でみると、そう珍しいことではないのでしょう。





















