- マルチメッセンは-観測を組み合わせた、これまでより2倍厳密な中性子星のサイズ測定に成功した
- 新しい測定値は、中性子星の半径をおよそ11キロメートルとしている
- また研究は中性子星がブラックホールと合併した場合、丸呑みされてしまうと予想している
2017年8月に世界で初めて、中性子星連星の合体というイベントが重力波観測によって検出されました。
その天体は地球からに1億2000万光年離れた場所にあり、「GW170817」と呼ばれています。
中性子星合体の重力波が検出されたことで、その到来方向を様々な望遠鏡が観測し、この天体にはX線やガンマ線の他、ニュートリノの検出も含めた非常に多様な観測が実行されました。
こうした幅広い観測で1つの天体現象を調べることを「マルチメッセンジャー天文学」と呼びます。
そして、この数多く集められたデータを用いて、今回中性子星の正確なサイズ測定が行われ、これまでの2倍近く厳密な中性子星のサイズ測定値が明らかになりました。
それによると、中性子星のサイズは半径11キロメートル程度であるといいます。
中性子星は太陽を超える質量を持ちながら、そのサイズは非常にコンパクトであることが知られていましたが、この正確なサイズは一体私たちの感覚でいうとどの程度なんでしょうか?
この研究は、マックスプランク重力物理学研究所のメンバーが率いる国際研究チームより発表されていて、3月9日付けで天文学の科学雑誌『Nature Astronomy』に掲載されています。
nature.com/articles/s41550-020-1014-6
中性子星を日本地図に載せてみた
今回の研究で明かされた中性子星の正確なサイズは、およそ半径10.4km~11.9km(直径20.8km~23.8km)の範囲になるといいます。
これを東京駅を中心とした同心円で描いた場合、上の画像のようなサイズ感になります。だいたい11kmというと東京駅からさいたま新都心駅間くらいでしょうか。
日本地図の中においてもこんなに小さい天体というのは、なんとも意外な印象です。
ところが中性子星はブラックホールになる一歩手前の、非常に重い天体で、この小さなサイズの中に太陽の1.4倍もの質量を持っているのです。
ちなみに太陽と地球を比較するとこんな感じです。
太陽から見た地球は豆粒以下の大きさで、比較画像も何を比較してるのか言われなければわからないレベルです。
そんな太陽よりもさらに重たい質量が、日本地図のあんな小さな範囲に収まると考えれば、いかに中性子星がヤバい天体がよくわかります。
中性子星はそのあまりの高密度なために、ティースプーン一杯すくい取っただけで、地球と同じ質量になるのだといわれています。