銃弾に耐え高温にも耐える軽いアーマーは存在しなかった
どんな大きな銃弾も通さず、どんなに高熱の爆風にも耐える、軽くて丈夫な完璧なボディーアーマーがあれば、陸上戦で優位に立てます。
しかし実際にそのようなアーマーを作ることはできないでいました。
銃弾に耐えるためには金属やセラミックといった高度に規則正しく整列した分子構造を持つ素材が必要であり、熱に耐えるには逆に秩序性の低い(伝熱性の低い)分子構造の材料が必要だからです。
両方を備えるには、2つのアーマー素材を両方とも重ねて使う必要があり、そのような極端に重厚なアーマーは一般的な兵士の運動能力を超えてしまいます。
そのため、どちらかを獲得するには、もう一方の性能を諦めなければならないという「トレードオフ」の関係が存在していました。
耐弾性と防熱性を両方持つアーマーを着こなすには、非現実的な筋力を持つ兵士が必要不可欠だったのです。