弾け飛ぶときの加速度は「チーターの100倍」以上
スリングショットスパイダーの体長は、驚くことにわずか1ミリしかありません。
それでも、射出スピードの加速度は、毎秒1300メートルに達しており、チーターの100倍以上に匹敵します。
さらに調査の結果、射出時のスリングショットスパイダーには、およそ130Gの負荷がかかっていました。
参考までにいうと、この数値は、戦闘機パイロットが気絶する寸前まで耐えられる限界負荷の10倍以上です。
一体、どのようにしてこれほどの爆速を生み出しているのでしょうか。
クモの巣は「3次元の発射台」
スリングショットスパイダーの巣は、大半のクモが作る平面的な巣とは違い、3次元の円錐形をしており、その山の部分から、一本の張力線がまっすぐ張られています。
イメージとしては、円錐形の巣がパチンコの持ち手で、張力線がヒモの部分、文字で表すと「一く」のような感じです。
それからクモは、後ろ足で張力線をたどっていき、巣をくの字に強く引っ張った状態でスタンバイします。パチンコのヒモを絞って狙いを定めている状態と同じですね。
そして、蚊やハエが近くを通った瞬間、引き金を引いて自らをバビュンと発射し、獲物を捕まえます。
研究チームのサアド・バムラ氏は「この天然のバネは、人間が作ったあらゆる材料のエネルギー密度をはるかに凌ぐ」と絶賛しています。