なぜ張力に耐えられるのか?
一番の謎は、小さなスリングショットスパイダーが、張力線を引いた状態で何時間も待機できるエネルギーをどこに持っているのかということです。
バムラ氏によると、張力線を引っ張るには少なくとも200ダインの力が必要で、わずか1ミリしかないクモには途方もないエネルギーです。(1ダイン=1グラムの物体に作用して、毎秒毎秒1センチメートルの加速度を生じさせる力の大きさ)
体のサイズを考えると、筋肉に頼っているとは思われません。
そこでおそらく、張力線を引っ張った状態でもエネルギーを消費しないですむような「ラッチ(掛け金)構造」を利用していると予想されます。
バムラ氏は「そうでなければ、2〜3時間も引き金を引いた状態で待機し、結果ゲットできたのか小さな蚊くらいでは割に合わないでしょう」と話します。
しかし、この秘密はまだ解明されていません。
チームは現在、新型コロナの影響で調査を中断しており、状況が好転次第、現地に戻って調査を再開するとのことです。
研究の詳細は、8月17日付けで「Current Biology」に掲載されています。
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(20)30928-3