葬儀に必要な有害物質は一切不要
菌糸体は、糸状になった菌類の集合体であり、寿命は数千年と長く、サイズも数ミクロ〜数千エーカーという広さにまで大きくなります。
「自然界のリサイクリスト」とも呼ばれる菌糸体は、チェルノブイリ原発事故により汚染された土壌から放射性物質を分解するためにも使用されました。
ヘンドリクス氏は「菌糸体を使えば、土壌に浸み込んだ石油やプラスチック、金属などを分解可能な上に、環境との親和性が高く、新たな植物が生まれる土壌を準備できる」と指摘します。
アメリカ・コーネル大学の調査によると、葬儀会社は、アメリカだけでも年間430万ガロン(1ガロン=約3.8リットル)の防腐剤を使用し、棺には膨大な数の樹木が使われます。また、火葬でも石油やガス、化石燃料を用いることで、大気中に有毒ガスを放出しているのです。
しかし、リビング・コクーンは、わずか1週間で育てられ、約1ヶ月半あれば地中に溶け込みます。
遺体は菌糸体を通して再び自然と一体になり、環境を汚染する代わりに豊かな土壌を育むのです。