真円に近い軌道を持つ金星
「金星」は非常に珍しいことに完全に近い円軌道を持っています。
通常の惑星軌道はもっと楕円です。
惑星軌道がいかに円に近いかという値は離心率で表されます。完全に円の場合離心率は0であり、円からもっとも遠い場合離心率は1になります。
離心率1はもはや軌道を形成できず星系から飛び出していってしまいます。
金星の離心率を計算した場合0.006となり、太陽系のどの惑星より軌道は真円に近いものです。ちなみに地球の離心率は0.0167です。
しかし、他の惑星からさまざまな影響を受けて形成される軌道が、最初からこれほど円に近いということは考えにくい事実です。
そこで研究チームは過去にさかのぼって太陽系の重力的な影響をシミュレートする複雑なモデルを作成し、惑星が互いに引っ張りあったとき金星の軌道がどう変化するか計算しました。
するとかつて、木星が太陽に近づいた可能性が高いときの金星軌道は離心率0.3であった可能性が出てきたのです。離心率0.3はかなり極端な楕円軌道です。
木星の移動によって、金星軌道の軌道は引き伸ばされていたのです。
金星が最終的に円軌道に落ち着いたのは、金星が表面に持っていた海の潮汐力が影響していると研究チームは考えています。
極端な楕円軌道は、金星と太陽の位置関係から表面を急冷と過剰加熱に晒して惑星の水分を奪っていってしまったのです。