数学的モデルの計算から導かれる金星生命の可能性
最近の研究では、金星上空の大気にホスフィンという微生物の存在を示唆する成分が検出されるなど、金星に生命の存在する可能性は高まっています。
金星は惑星サイズや密度においても地球に非常に近い惑星で、かつては海を持ち居住可能な環境であったという可能性も、いくつかの研究から示されています。
今回の研究は、そうした可能性を金星自体の観測データは用いずに、複雑なコンピュータモデルと賢明な推察に頼って計算から導き出した特異な例と言えるでしょう。
木星の影響で金星は軌道をゆがめ、太陽放射によって海を失い、大気中が大量の水蒸気で満たされて温室効果を高めることになりました。
それは地殻の接合部で潤滑剤の役割を果たしていた液体まで奪い、プレートテクトニクスを停止させ、大気中へ大量の二酸化炭素を放出させる原因になりました。
こうした悪循環が、金星を現在のような地獄の環境に変えてしまったと考えられます。
木星の影響がなければ、太陽系には地球と金星という液体の海をたたえたよく似た惑星が並んで回っていたのでしょうか?
しかし、木星はその重力で外から飛来する多くの小惑星を吸い寄せ、地球を隕石の被害から守っているという側面もあります。木星がなかったら、別の要因で地球は今の姿を保てなかったかもしれませんね。