サメが吐き出した腕は誰のもの?
サメが吐き出した左腕は、鑑識の詳しい調査に回され、特徴的な刺青と指紋のおかげですぐに身元が判明します。
それは「ジェームズ・ジミー・スミス(James “Jimmy” Smith)」という男性のものでした。
ジミーは当時45歳のイングランド出身のアマチュアボクサーで、シドニー中心部の酒にまみれたビリヤード場で働いていた人物だったといいます。

その後に判明したのは、ジミーがシドニーの裏社会と多くの関係を持っており、特に「レジナルド・ホームズ(Reginald Holmes)」という怪しい実業家とのつながりがあったことです。
ジミーはホームズを通じて、ボートを使い沖合で麻薬を受け渡すという金儲けのビジネスに関わるようになりました。
しかし2人の関係は、とあるプレジャークルーザーを沈めるという詐欺事件をめぐって崩壊します。
1930年代半ば、オーストラリアは世界恐慌の影響で経済的に追い詰められていました。
資金繰りに困ったジミーは、かつてのビジネスパートナーであるホームズに対して恐喝を行おうとし、裏社会内部での緊張が高まっていったのです。
そして事件は起こります。