人工子宮に高圧酸素を注入する
子宮外の胚にどのように酸素を提供するか?
鍵となったのは高圧酸素でした。
通常の妊娠のように胎児に酸素を届けられないのならば、培養液の酸素圧を増加させ内部に酸素を押し込む、という手法です。
また研究チームは同時に酸素や栄養素を効率よく胚に送り込むため、人工子宮カプセルをかくはん機で常に動かすと良いことを発見し、上の動画のような最適な速度で動くカプセルかくはん装置を開発しました。
すると胚は順調に成長して胎児の形を形成し、脳や心臓をはじめとした各種の臓器を作り始め、最終的には妊娠中期(11日齢)の段階に到達しました(マウスの妊娠期間は20日)。
またニューヨーク・タイムズ紙のインタビューによると、追加でおこなわれた実験では、同じ手法を用いることで子宮から取り出した胚からではなく、受精直後の受精卵から培養をはじめることで「子宮を一切使わず」胎児段階まで到達できたと報告されています。
またこれら培養された胎児の外見および遺伝子の働きは、自然な子宮で育った胎児とほとんど同じことも確認されています。
この結果は、条件さえ整えば哺乳類は子宮を必要とせずに胎児を作れることを示します。