培養中の胎児の心臓の動き。培養胎児には「へそのお」が存在しない
培養中の胎児の心臓の動き。培養胎児には「へそのお」が存在しない / Credit:Nature
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人工子宮でマウスの受精卵を「胎児」まで成長させることに成功 (3/3)

2021.03.21 Sunday

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精子も卵子も受精卵も子宮もいらない

培養胎児は妊娠の中期まで成長を続けることができた。しかしそれ以上大きくなるにはさらに別の酸素供給方法が必要になる
培養胎児は妊娠の中期まで成長を続けることができた。しかしそれ以上大きくなるにはさらに別の酸素供給方法が必要になる / Credit:Nature

今回の研究で、哺乳類の受精卵を人工的な子宮で胎児段階まで成長させられることがわかりました。

しかし研究チームはさらに進んだ実験の計画を立てているようです。

iPS細胞の万能性を利用して疑似的な受精卵を作り、疑似ヒト胚(ガストロイド)へと成長させられる
iPS細胞の万能性を利用して疑似的な受精卵を作り、疑似ヒト胚(ガストロイド)へと成長させられる / Credit:Nature

現在、胚性幹細胞(ES細胞)の万能性を極限まで発揮させることで、疑似的な受精卵を作成し、成長させることが可能になっています。

これら疑似的な受精卵は、精子や卵子を必要とせず、成長して疑似ヒト胚を形成します。

ガストロイドは人間の胚の代用品として実験に使うことが可能
ガストロイドは人間の胚の代用品として実験に使うことが可能 / Credit:Nature

この疑似的な受精卵から作られた疑似ヒト胚はガストロイドと呼ばれており、14日を超えて培養することが禁じられている受精卵の代用品として、現在盛んに実験に用いられています。

研究チームは今後、開発された人工子宮技術とガストロイドの技術を組み合わせて開発を進めることで、将来的には精子も卵子も受精卵も子宮も必要としない哺乳類を誕生させられると考えています。

もしこの技術を人間に応用すれば、たった1つの皮膚細胞から無限に人間を生産することが可能になるでしょう。

精子も卵子も受精卵も子宮もいらない存在が誕生する前に、私たちは生命倫理の再定義をしなければならないかもしれません。

【編集注 2021.03.23 14:45】
記事内容に一部誤りがあったため、修正して再送しております。

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