ヒトの死後に脳内で生きて増殖する「ゾンビ細胞」を発見!
これまで多くの医師や研究者は、心臓が停止すると脳もすぐに完全な死を迎えると考えてきました。
しかし2016年以降に発表された研究では、マウスやゼブラフィッシュの脳において、特定の遺伝子と細胞が死後に「覚醒」し、マウスにおいては2日間、ゼブラフィッシュにおいては4日間も活動を続けることが示されました。
この結果は既存の医学的常識を覆すものであり、死後も脳には生きた細胞が存在し、数日に渡って何らかの活動を続けることを示します。
そこで今回、イリノイ大学の研究者たちは、同じ現象が人間の脳において起きているかどうか確かめることにしました。
研究にあたっては、外科的に切り離された「死にたて」の人間の脳から一定時間ごとに細胞を採取して磨り潰し、遺伝子の活性度(RNA量)を調べました。
結果、ヒトの脳においても死後に覚醒するゾンビ遺伝子が24時間にわたり活動しており、ゾンビ遺伝子が活性化した細胞は死亡した4時間後に増殖を開始し、12時間後には活性ピークを迎えていることがわかりました。
また研究により、ヒト脳で増殖していたゾンビ細胞の正体が、グリア細胞の一種であることも判明します。
グリア細胞には脳の環境や構造を保持したり、壊死した脳細胞を除去する働きが知られています。
研究者たちは、これらグリア細胞の増殖は、死によって大量に発生した死んだニューロンに反応しているのではないかと考えています。