ポケモンのようにボールの中で暮らす?
レジオネラ属菌は、ヒトや動物の肺疾患の原因となる細菌で、1976年にアメリカで発見されました。
その一種のレジオネラ・ニューモフィラは「レジオネラ症」という、高熱や頭痛、吐き気、下痢を伴う感染症を引き起こします。
レジオネラ属菌は、宿主となる生物の細胞内に寄生して増殖することで知られ、とくにホストとなるのはアメーバです。
「アメーバ」という言葉の意味は広く、通常は仮足で這うように動く単細胞の原生生物を指します。
研究チームは今回、レジオネラ属菌がホストとするアメーバを探す目的で調査を開始。
これまで研究してきた宿主と密接な関係を持たないアメーバ群として、「ケルコゾア(Thecofilosea)」という球状アメーバを対象としました。
その結果、生息環境から採取したケルコゾアが、実際にレジオネラ属菌のホストとして機能していることが判明。
さらに、ケルコゾアから見つかったのは、これまで未記載だった新種のレジオネラ属菌(ポケモナス)でした。
同チームのケネス・デュマック氏は「今回の結果は、レジオネラ属菌が宿主とする生物の範囲が、以前考えられていたよりかなり広いことを示す」と指摘。
さらに「これらの知見は、予想より多くのアメーバがレジオネラ属菌のホストとなっており、ひいては疾患の媒介者にある可能性を示唆しています。
これを詳しく理解するため、私たちは現在、ポケモナスの完全なゲノム解析を行なっているところです」と説明しました。
研究主任のマイケル・ボンコウスキー氏は「将来的には、レジオネラ属菌同士の関係をより深く理解し、宿主との相互作用や感染経路を明らかにすることで、人への感染を防ぐことができる」と述べています。
解析の結果次第では、ポケモンより厄介な存在になるかもしれません。