ウイルスをつかまえる2つの方法とは?
実験では、培養細胞に注入したアデノ随伴ウイルスとB型肝炎ウイルスを対象としました。
ディーツ氏によると、ウイルスをつかまえる方法は2つあります。
1つは、カプセルの開口部から中に取り込む方法、もう1つは、複数のカプセルでウイルスを挟み込む方法です。
実験の結果、いずれの方法でもウイルスの活性を測定可能なレベルで低下させることに成功しました。
問題は、ナノカプセルが体液中ですぐに分解されないことです。
そこでチームは、作成したカプセルに紫外線を照射し、外側をポリエチレングリコールとオリゴリジンで処理しました。
その結果、マウスの血液中でも24時間安定して状態を保つことに成功しています。
次のステップは、生きたマウスを使ってウイルストラッピングのテストをすることです。
同チームのウルリケ・プロツァー氏は、次のように語ります。
「細菌には代謝があるので、さまざまなアプローチで攻撃できます。しかしウイルスは独自の代謝を持たないため、ほとんどの抗ウイルス剤は、1つのウイルスの特定の酵素を狙い撃ちするしかありません。
このような手法の開発には時間がかかります。
そこでもし、機械的にウイルスを排除するナノカプセルが実現すれば、新しく出現したウイルスにも対応可能です。
ナノカプセルは、ウイルス治療にとって重要なブレークスルーとなるでしょう」
さらにナノカプセルは、ウイルストラップだけでなく、薬剤投与のための輸送手段としても期待されています。
使い方次第で、医療界を大きく飛躍させる存在になるかもしれません。