中央レーンの最速神話
一部の人々の間では、「中央のレーンが最速」だと考えられてきました。
陸上トラックは合計8~9レーンあるので、「3~6レーンが一番速く走れる」という考えがあるのです。
これは「中央のレーンが良い」というよりも、「内側と外側のレーンにはデメリットがある」という考えから来ています。
内側のレーンではカーブがきついため遅くなると考えられており、実際、研究によって実証されています。
外側のレーンが遅いと考えられている主な理由は、スタート位置の違いです。
各選手の走行距離を均等にするため、外側のレーンになるほどスタート位置が前方になります。
これにより外側の走者はレースの大半でライバルの姿を見ることがありません。
競争心が下がったり、集団と比較して自分のスピードを把握しづらくなったりすると考えられているのです。
ちなみに、実際のレースでは中央の走者が優勝することが多いです。
これは競技規則に基づいて、速いランナーが中央のレーンに配置されるからであり、中央レーンの最速神話の理論を支持するものではありません。
つまり最速のレーンに対する推測はあるものの、現状ではデータによる裏付けはないのです。
そこでマンロ氏は、ワールドアスレティックス(国際陸上競技連盟)の20年間の陸上競技データを使用して最速のレーンを導き出そうとしました。