子供は6~7歳になるまで、他者に対して不完全な推論をする
研究チームは、マキシ課題【改良版】の結果から、4~5歳の子供がどのようなプロセスで推測するか説明しています。
彼らによると、幼い子供の考えは「見ること」と「知ること」に依存しているようです。
そのため子供たちは次のルールに基づいて判断しています。
- 見ることは知ることにつながる
- 見ることができない人は、そのことを知らない
- 知らない人はいつも間違ってしまう
幼い子供は、マキシ課題においてルール①②から、「マキシは緑色の箱にチョコレートが入っていることを知らない」と結論します。
そしてルール③により、「マキシは必ず間違った選択をする」とだけ考えるようです。
ただし相手の目線に立てていないので、それ以上は考えられません。
そのため、空箱が1つしかない従来のマキシ課題では正解しますが、空箱が2つあるマキシ課題【改良版】では、推測できず「間違っているほうならどっちでもいい」と適当に選んでしまうのです。
マキシの心やマキシの持っているであろう記憶を推測できる大人なら、このような間違いはしません。
またチームが続けて行った「母親がチョコレートを移動させない場合」の実験でも、4~5歳の子供たちは「見てないマキシは間違った選択をする」という固定観念にとらわれて、正解できませんでした。
このように、「心の理論は4歳までに獲得される」という通説は覆されました。
では、6~7歳までは心の理論を獲得できないという事実に対して、大人はどんな調整をすべきでしょうか?