やさしいタッチを感じる神経は性的興奮を引き起こす
私たち人間は優しく抱きしめられたり撫でられたりすることに安らぎや喜び、そして時には性的な快感を覚えます。
しかし、皮膚に対する接触がどのように、性的興奮を引き起こしているかは謎でした。
そこで今回、ペンシルベニア大学の研究者たちは、やさしいタッチと性的興奮の間に存在するメカニズムの解明を試みました。
調査にあたって研究者たちはまず、マウスの遺伝子を操作し、やさしいタッチにかかわる遺伝子(Mrgprb4)を「青い光」に反応するようにしました。
これにより、研究者たちは物理的な刺激ではなく光によって、狙った神経(やさしいタッチを感知するもの)のみをピンポイントに活性化できます。
遺伝子操作を終えた研究者たちは、さっそくマウスを青い光で照らしました。
すると、背中の皮膚を照らされたメスマウスが突然、背中を下げてお尻を上げる、交尾のポーズをとりはじめました。
また生殖器周辺の皮膚を青い光で照らされたメスマウスの脳では、快楽物質であるドーパミンが分泌されていることが判明します。
この結果は、やさしいタッチに反応する神経を活性化することで、メスマウスに交尾行動を誘発させたり、快楽を感じさせられることを示します。
一方で、膣に光ファイバーを挿入して内部を青い光で照らしても、ドーパミンの大きな変動は見られませんでした。
どうやら、やさしいタッチが快楽に結びつくのは「皮膚のみ」であり、生殖器の粘膜にはまた別の快楽を感知する仕組みがあるようです。