生殖細胞を作る技術は不妊治療に革命を起こす
今回の研究により、人間に近いサルにおいても万能細胞(ES細胞)から受精能力のある精子細胞を、人工的に作れることが示されました。
2020年に行われた研究では、ES細胞から卵子に似た細胞を作ることにも成功しており、本物の精子と結合して受精卵になることが示されました。
研究が進展すればマウスと同じく「メスのみ」や「オスのみ」から、サルの赤ちゃんを作ることが可能になるかもしれません。
また材料として使われる幹細胞に、胚を壊す必要のあるES細胞ではなく、iPS細胞に切り替えることができれば、皮膚細胞から精子や卵子を作ることが可能になり、不妊治療に革命が起こるだけでなく、誰もが性別を超えて子供を持つことができるようになるでしょう。
ただ、自分の皮膚から精子と卵子の「両方」を作り受精させて赤ちゃんにした場合、人間の単為生殖(クローン問題)が発生する懸念があります。
幹細胞から生殖細胞を作る技術は急速に進歩しており、家族や親子にどのような定義づけをするか、社会は備えておく必要があるでしょう。
なお人工子宮技術も加速度的な進歩を遂げており、興味深い研究結果が報告されています。
こちらの研究では、高圧酸素を用いることで、受精卵を胎児にまで成長させています。
またこちらの研究では、人工子宮を用いて羊を追加で成長させることに成功しています。
SFでしかみたことのない風景が、現実になりつつあるようです。