恋愛で「見返り」を求めるとどうなる?
恋愛関係や夫婦関係が長続きするには、「お互いに思いやる気持ち」が大切だとよく言われます。
この思いやりには2つのタイプがあることが心理学で分かっています。
ひとつは「共同志向(コミュナル・オリエンテーション)」と呼ばれるもので、これは相手の幸せや困りごとに、見返りを求めず自然に手を差し伸べるスタイルです。
例えば「疲れているみたいだから、今日は私が食事を作ってあげよう」と思えるような、無償のやさしさです。
もうひとつは「交換志向(エクスチェンジ・オリエンテーション)」という考え方。
これは「自分がこれだけやったから、あなたも同じだけ返してね」と“貸し借り”を意識する姿勢です。
友人同士で割り勘にする時などは健全な感覚かもしれませんが、恋愛関係でもこの損得勘定を持ち込みすぎると、思わぬ“落とし穴”があるようです。

実際、ドイツの7,000組以上のカップルを対象に13年にわたり追跡調査を行った最新研究では、「恋人に対して見返りを強く期待する人」ほど、年月とともに恋愛満足度が下がる傾向が見られました。
これは、たとえば「私ばかり我慢しているのに、相手は何もしてくれない」といった“損得リスト”を心の中に作るほど、関係に不満や冷めた気持ちが生じやすくなることを示しています。
一方で、この「見返りを求める姿勢」は、関係が長く続くほど自然と薄れていく傾向があることも判明しました。
つまり、多くのカップルは時間とともに“無償のやさしさ”を身につけていくのですが、逆にいつまでも損得勘定にこだわる人ほど、パートナーとの間に壁ができやすいのです。