性格は固定ではなく“ダイヤルで調整できるもの”
多くの人が、自分の性格は生まれつき決まっていて変わらないと考えています。
そのため、仕事を完璧に仕上げようとするあまり夜遅くまで残業してしまったり、人に頼まれたことを断れずに予定を詰め込みすぎてしまったりしても、「自分はこういう性格だから仕方ない」と諦めてしまうことがあります。
しかし心理学の研究は、この思い込みを覆しています。
過去には「性格は20歳前後で固まる」と考えられていましたが、近年の研究では成人後も性格は変わり得ることが明らかになってきました。
しかも意識的に取り組むことで、その変化を加速させられる可能性があるとSauer-Zavala博士自身の研究でも示しています。
ここで重要なのが、性格を“変える”というのは「全く別人になる」という意味ではないという点です。
心理学では、人の性格を「ビッグファイブ(Big Five)」と呼ばれる5つの大きな傾向で説明します。
誠実性は几帳面さや計画性を表し、協調性は人との調和や思いやりを示します。
神経症傾向はストレスや不安への敏感さ、外向性は社交性や刺激を好む度合い、開放性は新しい体験や発想への興味を表しています。
これらの特性は固定の「タイプ」ではなく、0か100かで分かれるものでもありません。
むしろ音量を調整するダイヤルのように、少しずつ強めたり弱めたりできる連続体なのです。
つまり性格とは固定されたものではなく、「調整可能な特性の集合」だと考えられるのです。
では、それらの因子をどのように調整できるでしょうか。