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クロコッキディオプシス / Credit: en.wikipedia
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火星の塵を食べて酸素を作り出す「スーパー微生物」を発見

2025.09.11 12:00:00 Thursday

火星に人類が住む未来。

そこに必要不可欠なのは、新鮮な酸素や食料、資源を生み出す「生命体」の存在です。

そんな夢のような技術に一歩近づく発見が報告されました。

伊ローマ・トルヴェルガタ大学(URTV)の最新研究で、なんと火星の塵をエサに、酸素を作り出す驚異の微生物が実在することが明らかになったのです。

その名前は「クロコッキディオプシス(Chroococcidiopsis)」

人類の火星移住や月面基地の夢を支えるスーパー微生物となるかもしれません。

研究の詳細は2025年9月6日付で科学雑誌『Acta Astronautica』に掲載されています。

Microbe That Can Eat Mars Dust And Make Oxygen Could Be a Great Space Pet https://www.sciencealert.com/microbe-that-can-eat-mars-dust-and-make-oxygen-could-be-a-great-space-pet
Desert Cyanobacteria under Non-Earth Conditions: Implications for Astrobiology and Sustainable Life Support https://doi.org/10.1016/j.actaastro.2025.09.022

砂漠の微生物「クロコッキディオプシス」とは?

クロコッキディオプシス、長い名前なので、ここでは簡単に通称「クロ」としましょう。

クロは地球の砂漠や極地といった過酷な環境に生息する藍藻(シアノバクテリア)の一種です。

その最大の特徴は、乾燥や強い紫外線、放射線など、ほとんどの生物が生きていけない極限状況でも、しぶとく生き延びる“サバイバル力”にあります。

たとえば、南極やアジア、アメリカなど世界中の砂漠で発見されているクロは、ほとんど水のない状態で長期間にわたり“仮死状態”となり、条件が良くなると再び蘇ります。

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Credit: canva

さらに岩の割れ目や石の下など、紫外線が届きにくいミニシェルターの中でコロニーを作って生きる知恵も持っています。

クロの生存能力は科学者たちにとっても驚きの連続です。

たとえば、地上の実験室では、人間ならとても耐えられない24,000グレイ(人間の致死量の2,400倍)という超高線量のガンマ線を浴びても生存。

マイナス80度という極寒や、塩分を含む氷の中でも眠るようにして生き延びることができます。

この「とことんタフな生物」の正体こそ、宇宙や火星のような未知の環境で“生命が生き延びられるかどうか”を知るための重要なモデル生物となった理由です。

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