最高のハグには圧力や時間が重要
日本では、ハグは欧米ほど日常的な習慣ではありません。
親しい友人や恋人、あるいは親子のスキンシップとして行われることはあっても、挨拶やコミュニケーションの基本動作としての“ハグ文化”は根付いていません。
しかし近年、親子関係の向上や心の安定、自己肯定感を高める方法として、ハグの効果に注目が集まりつつあります。
「もしハグをもっと自然に使いこなせたら、人間関係も人生も豊かになるのでは?」
そんな思いから、“科学的に最高のハグ”について知りたい人も増えています。
セバスチャン・オクレンブルク博士が教える「最高のハグの6つのポイント」のうち、まずは前半の3つを詳しくみていきましょう。
1. しっかりとした圧力が「つながり」を生む
ただ軽く触れるだけのハグでは、実は“心のつながり”は強く生まれません。
2025年に発表された研究では、被験者が「重いブランケットによる深い圧力」と「軽い圧力」の2種類のハグ感覚を体験しました。
その結果、しっかりとした深い圧力のほうが、より強い安心感や社会的つながりを感じやすいことが明らかになりました(Damon et al., 2025)。
つまり、相手に対する気持ちをこめて、やさしく、でもしっかりと抱きしめることが「最高のハグ」の第一歩なのです。
ただし、力を入れすぎず、相手の反応に合わせるのも重要です。
2. ハグの時間は「5~10秒」がベスト
「どれくらいの時間ハグすればいいの?」という疑問にも、科学は答えを出しています。
ロンドンの研究チームが行った実験では、1秒、5秒、10秒のハグを比較した結果、5秒や10秒のハグが最も心地よいと感じられることが示されました(Dueren et al., 2021)。
さらに、友人同士の平均的なハグの長さは約3秒、恋人同士では約7秒というデータも得られています(Ocklenburg et al., 2025)。
つまり、1秒では短すぎ、10秒を超えると気まずくなることもあるが、5~10秒の範囲が多くの人にとって“ちょうどいい”と言えそうです。
3. ハグの型に正解はない
「どうやって抱きしめればいい?」という疑問にも、科学は明快な答えをくれます。
「クロスハグ」(お互いの肩と腰を交差して抱く)と「ネックウエストハグ」(一方が相手の肩、もう一方が腰を抱く)の2種類の抱き方を比較したところ、どちらも同じくらい快適で、優劣はありませんでした(Dueren et al., 2021)。
つまり、「型」よりも大切なのは、“気持ち”や“シチュエーション”。
自分と相手にとって自然な形を選ぶのが、科学的にも正しい選択なのです。