高い目標から生じるプレッシャーにどう対処する?
「もっと頑張りたい」「もっと結果を出したい」
こう思うこと自体は決して悪いことではありません。
しかし、真剣に取り組めば取り組むほど、「失敗したら自分はダメだ」と思い込んでしまうこともあります。
たとえば、次のオリンピック出場に向けて励むアスリートは、目標を達成するために、トレーニング、睡眠、食事、マインドなど生活全体を最適化しようとするものです。
しかし、3年目に入ったところで「ベストタイムを更新できないこと」で落ち込み、「期待に応えられないのではないか」と強い不安に襲われるかもしれません。
こうしたケースは、スポーツの分野だけに限りません。
では、目標をもって頑張る人は、どのようにプレッシャーと上手に付き合っていくことができるでしょうか。
ボイズ博士が紹介する6つのヒントのうち、まずは前半の3つを見てみましょう。
1. 「リラックス」も成果を出すために大事なこと
ずっと全力で走り続けることは、どんな人にもできません。
むしろ、きちんと休むことこそが、高い成果を出すためには必要です。
たとえば、オリンピックを目指すアスリートも、毎日の練習だけでなく、「ぼーっとする」「趣味を楽しむ」「友達と何気ない話をする」といった時間をとても大切にしています。
ボイズ博士は「リラックスの“質”にこだわらなくていい」と言います。
ただだらけて過ごすだけでも、心と体の回復につながるからです。
自転車競技の金メダリストであっても、ガソリンスタンドに立ち寄ってアイスを買い食いしてもいいのです。
こうした“何気ない休憩”も、実はとても大切です。
2. 「成果=自分の価値」と思い込まない
高い目標に挑戦している人ほど、「うまくいかなかったら自分には価値がない」と思いがちです。
たとえば、試合で思うような結果が出なかったアスリートが「自分はダメだ」と感じてしまうことがあります。
しかし、努力や成績だけで人の価値が決まるわけではありません。
ボイズ博士は、「成果で“自分の価値”を決めようとすると、どんどん自分を苦しめてしまう」と警告しています。
失敗したときも、「それで自分の価値がなくなるわけじゃない」と考えることが大切です。
3. 「理想の自分」へのこだわりが強すぎると苦しくなる
「1つ1つの行動は、なりたい自分への一票だ」という言葉や考えを聞いたことがあるかもしれません。
これでやる気が出ることも多いでしょう。
しかし、ある人たちは、自分を苦しめる言葉として受け止めてしまうようです。
「少しサボってしまった」「何もしなかった」ことを、「なりたい自分」とは逆の、「自分は何者でもなく、愛されも尊敬されもしない」ことに投票しているかのように思えるのです。
当初は役に立つ言葉だったとしても、この負の側面が積み重なることで、「もう自分はダメだ」と思い込んでしまう人も少なくありません。
大切なのは、「この考え方が今の自分を苦しめていないか?」と、ときどき自分に問いかけることです。