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痛みに値段をつける / Credit:Canva
health

「痛みに値段をつける方法」で評価精度が高まると判明

2025.10.02 20:00:06 Thursday

痛みの程度を測定するのは簡単ではありません。

医療現場では「0から10で痛みを評価してください」という聞き方が一般的ですが、人によって基準が異なるため比較が難しいままです。

この課題に対して、アメリカのランカスター大学(Lancaster University)を中心とする国際研究チームが「お金」という共通の物差しで痛みを測る新しい方法を検証し、この方法が評価精度を高めることを明らかにしました。

本研究は2025年9月18日付の『Social Science & Medicine』誌に掲載されました。

Pain gets a price tag: New method outshines standard pain assessments https://newatlas.com/health-wellbeing/pain-assessment-tool-monetary-method/ How much does it hurt? New research puts a price on pain to improve measurement https://www.lancaster.ac.uk/news/how-much-does-it-hurt-new-research-puts-a-price-on-pain-to-improve-measurement
Improving numerical measures of human feelings: The case of pain https://doi.org/10.1016/j.socscimed.2025.118472

その痛み、何円ならもう一度受ける?

私たちは皆痛みを経験しますが、その強さを客観的に比べることは長年の難題でした。

同じ「10」でも人によって感じ方が違い、同じ人でも状況で「5」が揺れるため、従来の自己申告スケールには限界があります。

新薬の効果判定や治療の比較には、より共有しやすい基準が必要です。

そこで研究チームは、新しく「痛みをお金で表す」という手法を採用しました。

この方法では、「痛みをもう一度受けるならいくら必要か」を選択の形で尋ねることで、痛みの程度を測定します。

たとえば、特定の痛みを受けた後に、「もう一度、同じ痛みを受けて3000円もらう」か「痛みを受けずに2000円もらう」か、どちらを選ぶかという二択を様々な値段で何度も提示して、選び替わる境目からその人の“痛みの値段”を推定します。

この方法を評価する実験では、金額を順番に上げていく方式(ME1)と、順不同で提示する方式(ME2)の2種類が用いられました。

参加者は18歳から60歳の健康な成人であり、合計330人規模で実施されました。

そして1つ目は電気刺激で強弱の異なる痛みを体験する実験、2つ目は熱刺激で強弱を変えた実験、3つ目は同じ熱刺激を与えながら、鎮痛剤あるいはプラセボを使う実験が行われました。

各実験で参加者は従来の評価法だけでなく、新しい「痛みに値段をつける」方法でも回答しました。

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