不老薬みたいなのを飲んだハエ、寿命が伸びる代わりに弱体化していた
不老薬みたいなのを飲んだハエ、寿命が伸びる代わりに弱体化していた / Credit:Canva
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不老薬みたいなのを飲んだハエ、寿命が伸びる代わりに弱体化していた

2026.01.14 21:30:48 Wednesday

ドイツの家畜生物学研究所(FBN)で行われた研究によって、「不老薬を飲んだら、長生きはできるが足腰が立たなくなる」という、まるで冗談やホラーのようなこの現象がショウジョウバエの実験で報告されました。

研究では古くから高血圧の薬として使われてきたレセルピンという化合物をエサに混ぜて与えると、ハエの最大寿命が68日から81日へと大幅に伸びた一方で、運動能力が大きく低下し、高温にも弱くなってしまったのです。

見かけ上は「不老薬みたいな薬」は、実は毎日の力を薄く削って寿命に付け足すような「細く長く化」させるデバフ効果もセットだったわけです。

もし人間にもこうした「寿命と引き換えに弱くなる薬」があったとしたら、私たちはそれでも飲みたいと思うでしょうか。

研究内容の詳細は2026年1月12日に『npj Aging』にて発表されました。

Reserpine prolongs lifespan but compromises locomotion and heat-stress resilience in Drosophila melanogaster https://doi.org/10.1038/s41514-026-00329-1

寿命と健康は両立できるのか?

寿命と健康は両立できるのか?
寿命と健康は両立できるのか? / Credit:Canva

もし本当に「飲めば長生きできる薬」があったらどうでしょうか。

きっと多くの人が一度は夢見たことがあると思います。

なぜなら私たちはなんとなく、「長生きできるようになれば、元気で強い体にもなるはずだ」と思いがちだからです。

健康番組や広告でも、「寿命も健康もまとめて底上げ」といったイメージがよく語られます。

ゲームで言えば、「レベルが上がればHPも攻撃力も防御力も全部上がる」と期待してしまう感じです。

実際、これまでの長寿研究でも、カロリー制限(食事を減らす方法)や一部の遺伝子操作では、「寿命が伸びると同時に、熱や酸化ストレスにも強くなる」という“いいとこ取り”の例が報告されたことも多くありました。

ですから、「長寿=タフになる」というイメージが定着していても無理はありません。

「何かを削れば何かが伸びる」というイメージで一石二鳥が達成された状態と言えるでしょう。

そこで今回研究者たちは「体を全体的に静かに回す物質」にも、長寿効果があると考えました。

白羽の矢が立ったのはもともと高血圧などで使われてきたレセルピンと呼ばれる古い薬です。

レセルピンは脳内のノルアドレナリンやドーパミンなどのモノアミンを減らして体を落ち着かせる作用があります。

こうした仕組みから、レセルピンが生物の寿命に影響を与えるかどうかは以前から興味を持たれていました。

実際、過去の研究では線虫(センチュウ:1mmほどの小さなミミズの仲間)の実験において、レセルピンの投与で寿命や暑さへの耐性が向上したとの報告もあります。

この結果だけ見るとレセルピンには老化を防ぐ良い効果がありそうです。

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