溺れた子供への「人工呼吸」が減ってきている
心停止に対する心肺蘇生には、大きく分けて2つのやり方があります。
ひとつは、胸骨圧迫に人工呼吸を組み合わせる方法です。
もうひとつは、人工呼吸を行わず、胸骨圧迫だけを続ける方法です。
近年は一般向けの救命教育で、主に成人の心停止を想定して、実施しやすい「胸骨圧迫のみの蘇生」が広く普及してきました。
さらに新型コロナウイルス感染症の流行以降は、口をつける人工呼吸に抵抗を感じる人も増えたと考えられています。
ただし、ここで見落としてはいけないのが、心停止に至る原因の違いです。
成人では心臓のトラブルがきっかけになることが多い一方で、溺水ではまず呼吸がうまくできなくなり、低酸素状態が進んだ結果として心停止に至ります。
つまり溺水では、血液を回すことだけでなく、酸素を体に取り込ませることがとても重要になります。
そのため、子どもの溺水では人工呼吸を含む蘇生が特に大切だと考えられてきました。
そこで研究チームは、総務省消防庁が管理する「All-Japan Utstein Registry」を用いて、2012年から2023年までに発生した17歳以下の小児の溺水による院外心停止を調べました。
このデータベースは、救急車が到着する前に市民が心肺蘇生を行ったか、AEDが使われたか、心拍が戻ったか、その後に生存したかといった情報を、全国で統一した形で記録しているものです。
研究では、そのうち市民による蘇生が行われた740例を対象に、人工呼吸を含む蘇生と胸骨圧迫のみの蘇生を比べました。
主に見たのは、30日以内の死亡、病院前に心拍が再開しなかったかどうか、そして30日後の神経学的転帰(意識や脳の働きがどの程度回復しているか)です。
その結果、740例のうち、人工呼吸を含む蘇生は41.6%、胸骨圧迫のみの蘇生は58.4%だと分かりました。
また、年ごとの推移を見ると、人工呼吸を含む蘇生は2012年ごろには約45%でしたが、2020年以降は約30%まで低下していました。
人工呼吸を含む蘇生の割合が年々減っているのです。
さらに、胸骨圧迫のみの蘇生は、人工呼吸を含む蘇生に比べて、30日以内の死亡や脳の状態が悪くなることと関連していました。
では、なぜこのような結果になったのでしょうか。詳細を見てみましょう。































![[コロンブス] キレイな状態をキープ アメダス 撥水・防水・防汚スプレー420mL](https://m.media-amazon.com/images/I/31-OcmTs2LL._SL500_.jpg)






















