馬が捕食者を見た時、外見上の変化は乏しいが「心拍数が有意に上昇」した
馬はもともと、オオカミなどに捕食される側の動物です。
人間に飼育され、捕食者と出会う機会が少なくなった現在の馬にも、危険な相手を見分ける能力が残っていると考えられています。
これまでの研究では、馬が捕食者の鳴き声や匂いに反応して警戒を強めることが報告されてきました。
しかし、音や匂いを取り除き、視覚情報だけでも捕食者候補と非捕食者を区別できるのかは、十分に分かっていませんでした。
そこで研究チームは、オハイオ州立大学の施設で飼育されている馬18頭を対象に実験を行いました。
馬の平均年齢は7歳で、雌が12頭、雄が6頭でした。雄はすべて去勢馬です。
馬は心拍計を装着して馬房に入り、プロジェクターに映された音のない60秒間の動画を見ました。
最初の20秒は、非捕食者として3頭のウォンバットが草を食べる映像です。
続いて、オオカミ同士が噛み合ったり追いかけたりする場面と、互いに舐めたり毛づくろいしたりする場面が、それぞれ20秒間提示されました。
2種類のオオカミ映像の順番は馬ごとに入れ替えられましたが、ウォンバット映像はすべての馬で最初に流されました。
研究者らは心拍数に加え、視線、耳や尾の動き、頭振り、鼻孔の広がり、排泄なども記録しました。
その結果、ウォンバットを見ている間の心拍数は映像提示前と大きく変わりませんでしたが、オオカミ映像では明確に上昇しました。
一方、尾振りや頭振り、耳の動きといった外から分かる行動は、オオカミ映像で有意に増えませんでした。
外見上の変化が乏しいまま、体内では生理的な警戒が高まっていたと考えられます。
では、心拍数や視線には具体的にどのような違いが現れたのでしょうか。より詳しい結果を次項で見ていきます。






























