人は障害物の「高さ」だけを見て足を上げているわけではない
私たちは日常生活で、道路の縁石や床のコードカバーなど、さまざまな障害物をまたいでいます。
こうした障害物を安全に越えるには、高さだけでなく形や縁の位置に合わせて足を運ぶ必要があります。
たとえば縁石のような矩形の障害物には、前方に垂直な面と明確な「縁」があります。
そこに足先が接触すると、前へ進む足の動きが妨げられ、つまずきにつながる可能性があります。
一方、コードカバーのようなアーチ型の障害物は表面がなだらかです。
では、人間はこうした「縁」の有無まで捉えて足の動かし方を変えているのでしょうか。
これまでの研究では、主に障害物を越える瞬間の「足と障害物との距離」が調べられてきました。
しかし、一瞬だけを測っても、足を地面から離してから、いつ軌道を変え始めたのかまでは分かりません。
そこで研究チームは、若年者14名と高齢者14名を対象に、形の異なる障害物をまたぐ実験を行いました。
用意したのは、明確な垂直面を持つ矩形(全ての角が直角)と、なだらかなアーチ型の2種類です。
さらにそれぞれに、高さ2.5cm、奥行8cmの小型と、高さ5cm、奥行16cmの大型を設定しました。
参加者は5m先の障害物へ歩いてそのまままたぎ、研究チームはモーションキャプチャーで足の動きを記録。
そして足が地面を離れてから再び着地するまでを0~100%にそろえ、軌跡全体のどの区間に違いが生じるかを分析しました。
最終的な軌跡解析には、若年者12名と高齢者13名のデータが使われています。
その結果、若年者ではアーチ型より矩形をまたぐとき、先に障害物を越える足をより高く上げていました。
一方、高齢者では、形状による足の軌跡の明瞭な違いは検出されませんでした。
詳しい結果を見ると、若者は予想以上に早い段階から足の軌道を変えていたことが分かります。































