脳の8カ所に電極を刺し込む
マウスも人間と同じように仲間意識を持ち、さらには好きな相手と嫌いな相手を認識して、行動パターンを大きく変えます。
そして仲のいい個体同士は積極的に体を寄せ合ったり助け合ったりする一方で、嫌いな相手や見知らぬ相手とは距離を置こうとします。
しかし動物の社会性が、どのような脳活動によって引き起こされているかは、まだ詳しくわかっていません。
そこで今回、デューク大学の研究者たちはマウスの脳の8カ所に電極を刺し込み、コミュニケーション中の脳活動を詳細に記録。
そしてAIを用いてデータを分析することで、マウスの社会性の動機をうみだす脳回路(コミュニケーション回路)と、社会性や友好的な態度が現れるときの神経活動パターン(コード)を発見しました。
このコミュニケーション回路の存在は健康なマウスではどの個体でも普遍的に存在しており一般に活性度が高いほど社会性が高いことが判明します。
また回路の活性度はマウス同士の好感度にも影響を与えていました。
研究者たちが回路の活性度をもとに予測したマウスたちの交友関係が、現実の交友関係と一致していたのです。
またコードの再現性も非常に高く、研究者たちはコードを読み取るだけでマウスたちの社会的行動の開始と終わり(挨拶やじゃれ合いの期間)を判断することが可能になりました。
この結果は、マウスの社会性や友好度が特定の脳回路(コミュニケーション回路)や特定の神経活動パターン(コード)によって決められていることを示します。
ならば、この「コミュニケーション回路」を強制的に活性化した場合、マウスはどうなってしまうのでしょうか?