光遺伝学を用いた脳細胞の刺激例
光遺伝学を用いた脳細胞の刺激例 / Credit:J. BARNEY BRYSON et al . Optical Control of Muscle Function by Transplantation of Stem Cell–Derived Motor Neurons in Mice (2014) . Science
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マウスの脳に光ファイバーを刺し込んで友達を変更することに成功!

2022.03.18 Friday

社会性を制御する方法が判明しました。

米国デューク大学(Duke University)で行われた研究によれば、マウスの脳の8カ所の電気活動を測定することにより、社会性の源となる脳回路と制御コードを発見した、とのこと。

また発見された脳回路を光で強制的に活性化することで、マウスの社会性を変更し、他のマウスに対する友好度を制御することにも成功しました。

同様の回路は人間にもある可能性が高く、上手く制御すれば、嫌いな相手を好きにさせるなど、コミュニケーションの円滑化が実現するでしょう。

研究内容の詳細は2022年3月15日に『Neuron』にて掲載されています。

DUKE SCIENTISTS FIND BRAIN NETWORK THAT MAKES MICE MINGLE https://today.duke.edu/2022/03/duke-scientists-find-brain-network-makes-mice-mingle
Brain-wide electrical dynamics encode individual appetitive social behavior https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(22)00181-7?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0896627322001817%3Fshowall%3Dtrue

脳の8カ所に電極を刺し込む

マウスの脳で社会性を制御する回路と制御コードが発見されました
マウスの脳で社会性を制御する回路と制御コードが発見されました / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

意外かもしれませんが、マウスは高い社会性を持つ生き物です。

マウスも人間と同じように仲間意識を持ち、さらには好きな相手と嫌いな相手を認識して、行動パターンを大きく変えます。

そして仲のいい個体同士は積極的に体を寄せ合ったり助け合ったりする一方で、嫌いな相手や見知らぬ相手とは距離を置こうとします。

しかし動物の社会性が、どのような活動によって引き起こされているかは、まだ詳しくわかっていません。

まずコミュニケーション中のマウスの脳に8本の電極を刺し込みます
まずコミュニケーション中のマウスの脳に8本の電極を刺し込みます / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

そこで今回、デューク大学の研究者たちはマウスの脳の8カ所に電極を刺し込み、コミュニケーション中の脳活動を詳細に記録。

そしてAIを用いてデータを分析することで、マウスの社会性の動機をうみだす脳回路(コミュニケーション回路)と、社会性や友好的な態度が現れるときの神経活動パターン(コード)を発見しました。

このコミュニケーション回路の存在は健康なマウスではどの個体でも普遍的に存在しており一般に活性度が高いほど社会性が高いことが判明します。

また回路の活性度はマウス同士の好感度にも影響を与えていました。

研究者たちが回路の活性度をもとに予測したマウスたちの交友関係が、現実の交友関係と一致していたのです。

またコードの再現性も非常に高く、研究者たちはコードを読み取るだけでマウスたちの社会的行動の開始と終わり(挨拶やじゃれ合いの期間)を判断することが可能になりました。

この結果は、マウスの社会性や友好度が特定の脳回路(コミュニケーション回路)や特定の神経活動パターン(コード)によって決められていることを示します。

ならば、この「コミュニケーション回路」を強制的に活性化した場合、マウスはどうなってしまうのでしょうか?

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