マウスは二次元の画像と三次元の物体に「同等性」を感じられる!
画像に写っているリンゴと実際のリンゴ。
私たちヒトは、両者を苦も無く同じ「リンゴ」であると認識できます。
これは私たちに、画像と物体の「同等性」を感じる能力があるからです。
一見すると何気ない能力のように思えますが、この能力には、画像から得られた視覚情報をまったく異なる三次元の物体に当てはめるという、複雑なプロセスを実行しなければなりません。
そのため、同等性を感じる能力は、高い知能を持つとされる霊長類や一部の鳥においてのみ、確認されていました。
つまり、二次元と三次元を同じものと考える能力は高い知能の証だと考えられていたのです。
一方で、代表的な実験動物であるマウスにおいては、画像と物体に同等性を感じる能力はないと考えられていました。
マウス程度の知能では、画像から情報を抽出して現実の物体に当てはめる「高度」な技は不可能であると思われていたからです。
しかし今回、フロリダ・アトランティック大学の研究チームは、この常識に異を唱えることになりました。
研究者たちが利用したのは「マウスの本能」でした。
マウスには、新しい存在を積極的に調査しようとする本能があります。
そこでチームは、マウスにチェスの駒やレゴブロックなどの画像を提示し、次に画像と同じ物体と、別の新しい物体の両方をケージに入れました。
結果、マウスは画像で表示された物体よりも、まったく別の新しい物体に対して、より積極的な探査を行ったのです。
これはマウスが、画像に「慣れ」を起こすと同時に、画像と同じ本物の物体に対しても、すでに「慣れ」を生じさせていることを示します。
また、画像に写っている対象の撮影角度や構図、色や輝度、さらにはリアリズムを変更して、ぼかしやモザイクを入れた場合でも「慣れ」効果が発生し、反対に、画像で示されていない方の物体を、より積極的に探査したのです。
これらの結果はマウスにも、画像と物体の「同等性」を認識する能力(画像を一般化して物体にあてはめる能力)があることを示唆します。
そうなると気になるのが、同等性を感じているときの脳内の様子です。
二次元と三次元は、いったいどんな回路で結び付けられているのでしょうか?