脳に刺した電極で「脳に閉じ込められた」人と通信を可能にする
脳に刺した電極で「脳に閉じ込められた」人と通信を可能にする / Credit:wyss Center . Completely locked-in man uses brain-computer interface to communicate
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難病で「脳に閉じ込められた男性」、脳インプラントで家族との会話に成功 (4/4)

2024.09.22 Sunday

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失われていく自発的思考

倫理を維持しながら実験を続ける必要がある
倫理を維持しながら実験を続ける必要がある / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

ジョンはに刺し込まれた合計128本の電極により、さまざまな意思を伝えてきました。

しかしALS患者に対して脳に刺し込んだ電極を介して意思疎通するという試みは世界ではじめてであり、技術は完ぺきではありませんでした

YES・NOなどを示す音階を明白に意思表示できたのは全実験過程135日のうちの107日(8割)のみでした。

また音階を合わせられる調子のいい日であっても、わかりやすい文章を作れた日は107日のうちわずか44日でした。

さらにジョンの単語を作成する能力は低下してきており、現在はほぼYES・NOを答えるのみになっています。

ジョンの言葉が途絶えた原因として研究者たちは電極が刺さっている脳部位が瘢痕(傷跡)化しており、神経信号が微弱になっていることをあげています。

脳に電極を打ち込む実験にとって瘢痕化は最大の問題の1つであり、現状では避ける手段は限られています。

またもう1つの原因として、ジョンの精神状態に変化が起きている可能性もあげられました。

人間の思考には「自発的な目的を示す思考」と「判断のみを行う反射的な思考」が存在します。

精神が脳の中に閉じ込められ、限られた手段でしか意図を伝えられない場合、目的を持った自発的な思考のほとんどは実現しません。

「〇〇を食べたい、〇〇へ行きたい、〇〇に会いたい、〇〇を見たい」と思っても何もできないとなると、人間は自発的な思考を放棄して反応だけを行うようになってしまうと考えられています。

ジョンの自発的な思考を取り戻すには電極の位置の再調整や精度の向上により、ジョンの意思を実現できる環境作りなど、より大規模な対応が必要となるでしょう。

そのためには、より多くの被験者たちの協力と実験データの収集が必要になります。

研究者たちは、脳に閉じ込められた人との意思疎通を続けていくことで、本人や家族にとって最善の道を探していきたいと語っています。

※この記事は2022年3月公開のものを再掲載しています。

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難病で「脳に閉じ込められた男性」、脳インプラントで家族との会話に成功 (4/4)のコメント

ぶん

2年経ったけれど、あれからどうなりましたか?

    ゲスト

    だいたい想像つくでしょ

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