伽耶にいた人々の顔をDNA情報から復元してみた
今回の研究では、DNAにもとづいて埋葬された人々の顔の推測が行われました。
通常、顔の形などの推測は頭蓋骨をもとに肉付けをしていくことで行われますが、発見された骨は劣化が進んでいたため、DNAをもとにした復元が試みられました。
生命の設計図であるDNAには顔の特徴を記録している部位もあるため、DNAを参考にすることで当時の人々の顔をある程度、予測することが可能だからです。
結果、上の図のような顔が復元されました。
このうち、縄文人の遺伝子を多く受け継いでいるのは、古墳の主であると推測される男性「AKG 10203」であり、銅製の遺物や矢筒と一緒に埋葬されていました。
また同じく縄文人の遺伝子を継ぐ女性「AKG 10207」のほうは鉄矛や銅鏡と共に埋葬されており、殉死させられたと考えられます。
殉死(じゅんし)とは高貴な身分の人や主君などの死に際して、その従者や妻子らが殺されて一緒に埋葬されることです。
ここからは、朝鮮半島に進出していた縄文人が、この地で王族に準ずるような高貴な身分にあった可能性が伺えます。
また男性も女性も武器と一緒に埋葬されていたという事実から、縄文人の遺伝子を持つ伽耶の人々の文化がどんなものであったか興味をそそられます。
一方、韓国人に近い遺伝子を受け継ぐ6人では、別の古墳の主であると推測される男性「AKG 10218」以外の5人は、殉死させられた従者と考えられます。
研究者たちは古代世界の実情を知るためには今後も、さらなる遺骨DNAの解析が必要だと述べています。
遺伝学と考古学を組み合わせる試みは、人類史を解明するにあたり真実を語る重要な役割を果たすでしょう。
解析が進めば、縄文人の遺伝子を持つ人々がどのような経緯で朝鮮半島に存在していたかもわかるかもしれません。