唾液がない状態だと舌は味を認識できない
舌は味を感じる器官だと認識している人は多いでしょう。
しかし、舌が直接食べ物に触れても実は味を感じることはできません。
味覚を感じる器官である味蕾は唾液に溶けた成分から味を感じ取っているからです。
試しに、ペーパータオルなどで唾液をふき取った状態で、食べ物を舌に当ててみてください。
おそらくほとんど味を感じないはずです。
そのあと、唾液で口の中を潤してから同じように食べ物を舌に当てると今後はしっかり味を感じます。
唾液は食べ物を分解するためのもの、と思われがちですが、舌に味を感じさせる役割も担っているのです。
味の感じ方は年齢によって異なる
前述した味を感じるための器官である味蕾は高齢になるにつれ数が減少し、味を感じにくくなると言われています。
味蕾の数の減り方については諸説ありますが、加齢によって半数以下になるという報告もあるほどです。
また、幼い子どもは味蕾が多い上に舌が小さいため、味蕾が高密度に配置されることとなり、味に対して非常に敏感になっています。
子どもはピーマンなどの苦味に対して敏感ですが、これは年齢による味蕾の密度も関係しているようです。
逆に、高齢になると唾液の分泌量も減り、食べ物の成分が口の中に溶け出しにくくなるため余計に味を感じにくくなります。
このように高齢になるにつれ味の感じ方には変化があります。
しかし、実は味の感じ方はそもそもかなりの個人差があり、中には子どもでなくても「スーパーテイスター」と呼ばれる味に敏感な人々がいるのです。
4人に1人の才能!味に敏感な「スーパーテイスター」
普通の人には感じられない味の成分まで感じることのできるスーパーテイスターは人口の1/4ほどと言われています。
スーパーテイスターは白人よりアジア人の方が多く、男性よりは女性の方が多いとされていますので、日本だと4人に1人より多い割合でスーパーテイスターがいるかもしれませんね。
スーパーテイスターの味覚で普通の人と異なる点は苦味成分の一つである6-n-プロピルチオウラシル(PROP)を味わえるかどうかです。
また味の感じ方が普通の人の3倍ほどの強さだと言います。
このため、多くのスーパーテイスターは苦味を感じる食品や味が強すぎると感じる食品が普通の人よりも多くなり「好き嫌いが多い」「わがまま」と捉えられることもあります。
しかし、スーパーテイスターだからこそ他の人にはない鋭敏な味覚を活かして、ソムリエやバリスタなどとして活躍できるというケースもあるのです。
子どもが料理の味について細かく文句を言うとついつい腹が立ってしまいますが「この子はスーパーテイスターかも?」と思うと少し見る目が変わるかもしれませんね。
味蕾は肉眼で見えるの?
ここまで味の認識に関して舌にある味蕾についていろいろな話をしてきたので、「自分にはどれくらい味蕾があるかな?」と鏡で自分の舌を見てしまった人もいるかもしれません。
しかし残念ながら、味蕾は肉眼で見える大きさではないのです。
舌にはぶつぶつした「乳頭」があり、それが味蕾だと勘違いされることが多いのですが、この乳頭1つ1つに数個~数百個の味蕾があります。
乳頭の中にある味蕾の数はかなりばらつきがあるため、つぶつぶがいっぱいあるから味蕾が多いとか味に対して敏感であるといったようには言い切れません。
しかし、鏡で舌を見てみると、実は意外なことがわかったりします。
それでは最後に舌の見た目に関するトリビアをご紹介していきましょう。