体の中でもっとも柔軟な筋肉が舌である
体の部位の中でもやわらかい舌ですが、実はほとんど筋肉でできています。
呼吸、咀嚼、会話など、生活の中のあらゆる場面で動き回っている舌は体の中でもっとも柔軟な動きをする筋肉とされています。
多くの人が舌を丸めたり、上下左右に動かしたりできると思いますが、それほどなめらかに細かい動きを行える筋肉は体の中でも舌だけです。
舌は骨から独立して動く唯一の筋肉
人の体の中の多くの筋肉は骨に沿って存在し、骨と共に動きます。
関節をイメージするとわかりやすいでしょう。
しかし、舌は骨とは独立した筋肉で、筋肉の束が骨格のような役割をして動いています。
ゾウの鼻や、タコの足などと同じ構造で、こういった構造を「筋肉包骨格」といいます。
このような構造の筋肉は人間の体の中では舌しかありません。
肥満になると舌も太る?!
体が肥満になるといびきをかきやすくなると言われますが、これは舌が太ったことが原因です。
体が肥満状態になると舌にも脂肪がつき「太って」しまいます。
舌だけでなく、気道にも脂肪がついてしまって空気の通り道が狭くなる上、眠っているときは太った舌が喉方向に垂れ下がってきます。
このことがいびき、ひいては睡眠時無呼吸症候群などにつながってくるのです。
また、舌の力を表す「舌圧」は、全身の筋肉の強さと相関があると言われています。
年齢を重ねると共に運動する習慣がなくなり、筋肉減弱症(サルコペニア)となった高齢者の多くは舌圧も基準以下になるという調査結果もあります。
舌の力が弱いと咀嚼力も弱くなり、お肉のような硬いものが食べられなくなります。
その結果、タンパク質が足りなくなって筋肉量低下に繋がってしまうのです。
逆に舌の力が強ければ、タンパク質も問題なく摂取でき、筋肉量が増えて基礎代謝が上がることでより食欲も増加して健康的な好循環を生みます。
筋トレが流行っている昨今ですが、舌の筋肉もちゃんと鍛えて、いつまでも柔軟な動きができるようにしておきたいものですね。
ここまで、筋肉としての舌について意外な側面をご紹介しました。
次のページからは、舌のメイン機能の一つでもある「味覚」についてご紹介します。
実は「味覚」は舌に触れるだけでなく、ある条件が整わないと感じることができないというのです。