イヌだけじゃない!動物の時間認識の仕組み
イヌが嗅覚によって臭いの変化を感知するのと同様、他の多くの動物も温度や光など外界の変化を感じ取ることで時間を認識しています。
しかし、時間の認識は何も外界の変化によるものだけではありません。
外界の変化を感じなくても体の中の変化によって時間を認識することができます。
あらゆる生き物には、地球の自転による24時間周期の昼夜変化と同調しながら体の状態が変化する「体内時計」が組み込まれているのです。
毎日夜明け間際に鶏が鳴くこともまた24時間内の明暗周期に従っています。
もっと簡単な例を言えば人間が夜になると眠くなり、朝になると目が覚めるのも体内時計によるものです。
もちろん夜行性の生き物などはその逆の変化が起こるわけですが、24時間周期であることには変わりありません。
光によって調整される「概日リズム」
体内時計によって変化する生体リズムを概日リズムと言います。
「日」という字がついていますが、あくまで「体の中」で完結しているリズムで、日の光が一切見えない状態でも働くものです。
ただ日の光がまったく関係ないかというとそういうわけではありません。
概日リズムは厳密には24時間周期ではなく、個体によっても多少のずれがありますし、地球の公転による季節の移り変わりによって24時間内の明暗周期もずれが生じます。
こういったずれを解消するのに日光を浴びる時間が大きく関係しているのです。
例えば人間の場合で言うと朝の光を浴びることで体内時計を早めることができると言います。
「エサ待ち」で気になる動物の「腹時計」
ところで体内時計という言葉で「腹時計」をイメージした人もいるのではないでしょうか。
特にペットを飼っている人だとペットが「エサ待ち」をしたりするのを見て「正確な腹時計だな」と感じている方も多いと思います。
お腹の空き具合で時間を認識する「腹時計」ですが、実はこれもまた概日リズムの一種と言えます。
先ほどは睡眠を例に挙げましたが、体内時計によって変化するものは睡眠だけではなく、体温、脳を始めとする臓器の働きなども含まれるためです。
人間でも夜は胃腸の働きが鈍くなると言われています。
確かに、夜遅くにものを食べると翌朝胃もたれしたりしますよね。
一日の中で胃腸が活発になる時間は概日リズムによって決まっていて、それに従ってお腹が空くと考えると、ペットの「エサ待ち」は概日リズムの影響を受けていると言えそうです。
とはいえ、エサ待ちには「エサの臭いの変化」や「飼い主の帰宅」といった外界の変化も豊富です。
このようにペットの「エサ待ち」には時間を認識できる要因が複数あるからこそ、多くのペットに見られる光景なのかもしれませんね。
動物も人間も時間が経つのは認識できるがその速さは異なる
体内時計はあらゆる生き物に備わっているものですので、あらゆる生き物にとって「時間の経過」は平等であると言えます。
しかし、動物と人間で感じる時間の速さは異なります。
そんな中で、人間の生活に合った時間認識をしているような行動をペットたちが行っていたとしたら、それは飼い主と暮らした日々の積み重ねによるものです。
ペットよりも寿命が長い人間は、ペットよりも時間を短く感じています。
動物側だけでなく、人間側も動物の時間感覚に寄り添って、留守番の時間などを調整してみてもいいかもしれないですね。